すぷりんぐぶろぐ

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その串、はずしていいか問題

2020年08月04日 | 雑記帳
 先月、風呂読書用にと仕入れた文庫本の一つに『突撃!はしご呑み 中華・ファミレス・鍋編』(ラズウェル細木 じっぴコンパクト文庫)がある。ラズウェルのコミック、『酒のほそ道』は私にとって欠かせぬナイトブック(ナイトキャップに引っかけて)なので、この酒好きたちのお店日記風の記録は、実に羨ましい。


 この第四章が「串焼き編」であり、男にとっては垂涎の「うな串」から始まっている。そこはさておき、よく話題にもなる?串焼きの「串を外していいのか」に関する記述が興味深かった。実はこれをモチーフにした漫画は『酒のほそ道』45巻に登場している。「はずす問題」と題され、前編後編で構成されているのだ。



 串と言えばまず「焼鳥」だ。ある居酒屋、職場の数人で飲んでいるグループが「焼鳥盛り合わせ」を注文し、様々な部位、味をシェアしようと若い人が身を外しはじめる。その時年配者が「はずすんじゃない!」と大声を出し、なぜいけないのかその理由を懇々と語りはじめる。隣の席で聞いていた宗達(主人公)は…。


 年配者は、串を打つ職人の手間、そして串刺しによる保温状態のことを説くのだが、宗達は「串をはずすことはご法度ではない」と否定する。そもそも串とは調理の道具であり、そのまま提供するのは、「野趣」の演出だと薀蓄を語る。ただ、グループの中で外すのが嫌な人がいたら控えるべきだという結論でまとめる。


 そして宗達のグループは「全員はずしていい」となり、はずそうとしたその時、先ほどのグループとは反対側の客席からかの問題が生じている声が聞こえてくるのだ。そこで「なんではずしちゃダメなんだよ」と訊ねる相手に対して、答える爺さんが放つ言葉が「粋じゃねえからだ!」。…そうだなあと宗達も、自分も…。