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久しぶりのホール席で笑ふ

2020年11月23日 | 雑記帳
 仕事以外でホールに入り何か鑑賞するのは春以来だなあと思って、日記を見返したら3月12日にシネコンへ行って封切直後の「Fukushima50」を観ていたのだった。もちろんあの時も館内は限定された座席指定だった。今回は県都の文化会館。前後左右に間隔をとった指定席配置である。3列目中央の好位置が取れた。


 某放送局が主催する恒例の「立川志の輔独演会」。毎年当然満席だが、今回は昼と夕方の2回公演という形での開催となる。おそらく、全国どこでもマクラの話はコロナネタになっていることだろう。志の輔も「こんな状況のなか、家族から引き止められませんでしたか」から始まり、自虐的・風刺的ネタで存分に笑いをとる。



 そして「格子模様の客席」へ向かって、「人がいないだけ、その分をお客さんがよく笑ってくれて埋めてくれるような気がする」と、実に上手な煽りを見せる。「1部で力を尽くすから、2部は疲れて出来が落ちる」というくすぐりも面白い。きっと2部では逆の言葉で客を笑わすのだろうから、まさに口八丁健在である。


 演目は前半が志の輔の作った『親の顔』。遠い昔に聴いた記憶がある。東京の正月だったか。調べてみたらなんと初めての創作落語がこれだった。貴重な一席だった。可笑しかったのは、前半終了後、後ろの席で噺に出た分数の問題の意味についての会話。もしかして通分を忘れた!顔が見たかったが振り向けなかった。


 後半は古典『妾馬(八五郎出世)』。これは複数の噺家で聴いた記憶がある。今回の聴かせどころは、お屋敷で酔っ払った八五郎が親を思う気持ちを語る箇所だった。ずいぶんアレンジの効く噺だなと思う。笑いと人情のバランスがいい。マスク越しながら存分に笑って息を吐きだした気分になった。いい時間を過ごせた。