すぷりんぐぶろぐ

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心弾む時を愛おしむ

2021年01月03日 | 雑記帳
 昨年のうちに、図書館のエントランスに掲示する「今月の言の葉は打ち込んでいたのだが、どうにもやっつけ仕事のようになってしまい、心に引っかかっていた。正月の合間を利用して、もう一度別の何かないかなと自宅の書棚を漁ってみた。一つは、まど・みちお全詩集から「ページ」という詩の一節を選んだ。


 次に取り出したのが、坂村真民。おーーっ、久しぶりだ。図書館のサイトで蔵書検索をしたら該当する本があったので、安心して選べる。「光る」と題された詩が気に入り、それに決めた。さらに詩画集をめくっていて、冒頭の詩にも惹きつけられた。元日に書いた「遊」という語が出てきたからだ。大きな世界がある。


 山も遊んでいるのだ
 川も遊んでいるのだ
 大宇宙のものは
 すべて遊んでいるのだ
 だからあんなに美しいのだ



 そこに具体的な生物の名はない。ただ、描かれた絵には樹や花、鳥そして人が居る。俯瞰を重ねて「大宇宙」と物質すべての存在を見渡しているような詩だ。そこに自分は…。「ホモ・ルーデンス」論を持ち出すまでもなく、遊びという語の持つ自由さは様々なことを考えさせてくれる。究極は「美しい」とする感性か。



 一年ぶりに握った毛筆でうまく運べないが、数枚書くにつれて少し心が弾むような気分になってきた。何かの役に立つとか立たないとか、どこかに早く着くとか遅くなるとか、それらを少し後回しにしてでも、心弾む時を愛おしんでいくという意味での「遊」。毎日数え上げていくわけではない。ただ忘れずに居よう。