講師 黒川が語る「社会保障制度沿革」
(1)健康保険
ドイツのビスマルクの社会保障制度を倣って1927年(昭和2年)に健康
保険法、また農村を救済する目的で1938年(昭和13年)に国民健康保険法
(旧法)が制定されました。
戦後、高度成長期となりましたが依然、自営業者や農林漁業者や零細企業
従業員等、約3000万人が医療保険の適用を受けない無保険者でした。そこで
新たな国民健康保険法に基づき1961年(昭和36年)4月、各市町村単位での
国民健康保険制度がスタートしました。
これにより全国民が政府管掌健康保険、健康保険組合、共済組合、国民健康
保険のいずれかに加入する「国民皆保険」体制が実現しました。
その後、高齢者医療の無料化を実現したものの高齢者医療費の増大が財政を
圧迫してきたことから1982年(昭和57年)に老人保健法(現在の「高齢者の
医療の確保に関する法律」)による「老人保健制度」を導入、各保険制度が拠出
金を出し支え合う体制が始まりました。
2000年(平成12年)には介護保険法による「介護保険制度」が新たに始まり
ました。
2008年(平成20年)10月にはご承知のとおり、「政府管掌健康保険」が全国
健康保険協会に承継されました(「協会けんぽ」の開始)。
(2)国民年金
憲法25条第2項で定められている「国は、すべての生活部面について、社会
福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」の規定を
具体的に実現する制度として1961年(昭和36年)4月に施行されました。
これにより被用者については厚生年金、共済組合、これまで自営業者や農林漁業
者等、厚生年金等の被用者年金に加入していなかった者については「国民年金」の
いずれかに加入する「国民皆年金」体制が一応完成しました。
その後、1986年(昭和61年)4月より20歳以上60歳未満の日本に住む
すべての人を強制加入とする制度となり(学生の強制加入は1991年から)、
現在の「2階建て」制度至っています。
(3)厚生年金保険
1941年(昭和16年)に労働者を対象とした年金保険制度(労働者年金保険法)
を創設、その後、事務職員や女子にも対象を拡大する形で1944年(昭和19年)、
厚生年金保険法が制定されました。
前記(2)の健康保険と合わせて戦前に社会保障制度が既に構築されていたの
です(もっとも厚生年金は政府の戦費集めの一環とも言われていますが…)。
とはいえ、「国民皆年金」の実現については前記(2)のとおりです。
その後、平成に入り高齢化に伴う財政の圧迫から、平成6年、12年にそれぞれ
改正が行われ、定額部分の支給年齢の段階的引き上げ(60歳→65歳)、報酬比例
部分の支給年齢の段階的引き上げ(同)がなされました。
平成19年4月からは70歳以上の在職老齢年金、離婚分割請求の開始等の改正
が行われています。
制度の沿革については、ときどき出題されますが、完全な知識問題となります。
初見の細かい沿革が出た場合、把握している内容を手がかりに解答を導き出せる様、
最低限の内容だけは知っておきたいものです。
(1)健康保険
ドイツのビスマルクの社会保障制度を倣って1927年(昭和2年)に健康
保険法、また農村を救済する目的で1938年(昭和13年)に国民健康保険法
(旧法)が制定されました。
戦後、高度成長期となりましたが依然、自営業者や農林漁業者や零細企業
従業員等、約3000万人が医療保険の適用を受けない無保険者でした。そこで
新たな国民健康保険法に基づき1961年(昭和36年)4月、各市町村単位での
国民健康保険制度がスタートしました。
これにより全国民が政府管掌健康保険、健康保険組合、共済組合、国民健康
保険のいずれかに加入する「国民皆保険」体制が実現しました。
その後、高齢者医療の無料化を実現したものの高齢者医療費の増大が財政を
圧迫してきたことから1982年(昭和57年)に老人保健法(現在の「高齢者の
医療の確保に関する法律」)による「老人保健制度」を導入、各保険制度が拠出
金を出し支え合う体制が始まりました。
2000年(平成12年)には介護保険法による「介護保険制度」が新たに始まり
ました。
2008年(平成20年)10月にはご承知のとおり、「政府管掌健康保険」が全国
健康保険協会に承継されました(「協会けんぽ」の開始)。
(2)国民年金
憲法25条第2項で定められている「国は、すべての生活部面について、社会
福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」の規定を
具体的に実現する制度として1961年(昭和36年)4月に施行されました。
これにより被用者については厚生年金、共済組合、これまで自営業者や農林漁業
者等、厚生年金等の被用者年金に加入していなかった者については「国民年金」の
いずれかに加入する「国民皆年金」体制が一応完成しました。
その後、1986年(昭和61年)4月より20歳以上60歳未満の日本に住む
すべての人を強制加入とする制度となり(学生の強制加入は1991年から)、
現在の「2階建て」制度至っています。
(3)厚生年金保険
1941年(昭和16年)に労働者を対象とした年金保険制度(労働者年金保険法)
を創設、その後、事務職員や女子にも対象を拡大する形で1944年(昭和19年)、
厚生年金保険法が制定されました。
前記(2)の健康保険と合わせて戦前に社会保障制度が既に構築されていたの
です(もっとも厚生年金は政府の戦費集めの一環とも言われていますが…)。
とはいえ、「国民皆年金」の実現については前記(2)のとおりです。
その後、平成に入り高齢化に伴う財政の圧迫から、平成6年、12年にそれぞれ
改正が行われ、定額部分の支給年齢の段階的引き上げ(60歳→65歳)、報酬比例
部分の支給年齢の段階的引き上げ(同)がなされました。
平成19年4月からは70歳以上の在職老齢年金、離婚分割請求の開始等の改正
が行われています。
制度の沿革については、ときどき出題されますが、完全な知識問題となります。
初見の細かい沿革が出た場合、把握している内容を手がかりに解答を導き出せる様、
最低限の内容だけは知っておきたいものです。