4 異常な出来事
(1) 異常な出来事
異常な出来事とは、当該出来事によって急激な血圧変動や血管収縮等を引き
起こすことが医学的にみて妥当と認められる出来事であり、具体的には次に掲
げる出来事である。
ア 極度の緊張、興奮、恐怖、驚がく等の強度の精神的負荷を引き起こす事態
イ 急激で著しい身体的負荷を強いられる事態
ウ 急激で著しい作業環境の変化
(2) 評価期間
異常な出来事と発症との関連性については、通常、負荷を受けてから24時間
以内に症状が出現するとされているので、発症直前から前日までの間を評価期
間とする。
(3) 過重負荷の有無の判断
異常な出来事と認められるか否かについては、出来事の異常性・突発性の程
度、予測の困難性、事故や災害の場合にはその大きさ、被害・加害の程度、緊
張、興奮、恐怖、驚がく等の精神的負荷の程度、作業強度等の身体的負荷の程
度、気温の上昇又は低下等の作業環境の変化の程度等について検討し、これら
の出来事による身体的、精神的負荷が著しいと認められるか否かという観点か
ら、客観的かつ総合的に判断すること。
その際、1)業務に関連した重大な人身事故や重大事故に直接関与した場合、
2)事故の発生に伴って著しい身体的、精神的負荷のかかる救助活動や事故処理
に携わった場合、3)生命の危険を感じさせるような事故や対人トラブルを体験
した場合、4)著しい身体的負荷を伴う消火作業、人力での除雪作業、身体訓練、
走行等を行った場合、5)著しく暑熱な作業環境下で水分補給が阻害される状態
や著しく寒冷な作業環境下での作業、温度差のある場所への頻回な出入りを行
った場合等には、業務と発症との関連性が強いと評価できることを踏まえて判
断すること。
――コメント――
異常な出来事の考え方が認定基準において示されるとともに、具体的な3つの出来事
について、医学的知見や裁判例等を踏まえ、その表記が一部修正されました。
あわせて、検討の視点がより明確化されるとともに、業務と発症との関連性が強いと
評価できる場合の例示がなされました。