今回は、令和3年-徴収法〔労災〕問9-B「延納の要件」です。
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有期事業(一括有期事業を除く。)の事業主は、概算保険料を、当該事業を
開始した日の翌日から起算して20日以内に納付しなければならないが、
当該事業の全期間が200日であり概算保険料の額が80万円の場合には、
概算保険料申告書を提出する際に延納の申請をすることにより、当該概算
保険料を分割納付することができる。
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「延納の要件」に関する問題です。
次の問題をみてください。
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【 H10-労災9-B 】
事業の全期間が6月以内の有期事業(一括有期事業であるものを除く。)について
は、原則として概算保険料の延納を行うことができない。
【 H10-雇保8-A 】
継続事業であって、9月30日に労働保険の保険関係が成立したものについては
当該保険年度においては、概算保険料の延納をすることができない。
【 H29-労災10-ウ 】
継続事業(一括有期事業を含む。)の概算保険料については、平成29年10月
1日に保険関係が成立したときは、その延納はできないので、平成29年11月
20日までに当該概算保険料を納付しなければならない。
【 R1-労災8-E 】
政府は、厚生労働省令で定めるところにより、事業主の申請に基づき、その者が
労働保険徴収法第15条の規定により納付すべき概算保険料を延納させることが
できるが、有期事業以外の事業にあっては、当該保険年度において9月1日以降
に保険関係が成立した事業はその対象から除かれる。
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延納の要件については、概算保険料の額に関するものがあり、たびたび出題されて
いますが、概算保険料の額とは別に、事業の期間も要件とされていて、これも論点
とされることがあります。
これらの問題は、この「事業の期間」に関すること含んだ問題です。
事業の期間が短ければ、必然的に概算保険料の額も少なくなります。
そうなるとわざわざ延納を認める必要はなくなります。
有期事業の場合、事業の期間が6か月以内の場合は延納することができません。
6か月以内ということは、継続事業でいえば半年分以下(1年度分の半分以下)
の保険料しか発生しないってことですよね。
その程度であれば、延納するほどではないでしょうってところです。
ですから、継続事業でも、保険関係が年度の中途で成立した場合は、半年分を
超える保険料が発生すれば、つまり、9月30日までに保険関係が成立していれ
ば、延納が認められるのです。
ということで、
【 H10-労災9-B 】と【 H29-労災10-ウ 】は正しく、
【 H10-雇保8-A 】と【 R1-労災8-E 】は誤りです。
【 R3-労災9-B 】は、具体的な内容の出題で、期間だけではなく、概算
保険料の額も含まれていますが、「事業の全期間が200日」とあり、6か月を
超えていて、「概算保険料の額が80万円」と概算保険料の額が75 万円以上
であるので、いずれの要件も満たしているので、正しいです。
そうそう、単に概算保険料の額が少ない場合は、労働保険事務組合に労働保険
事務の処理を委託していれば延納することができますが、期間が短い場合は、
委託していたとしても延納することはできません。
この点、間違えないように。