今回は、令和3年就労条件総合調査による「年次有給休暇」です。
令和2年の1年間に企業が付与した年次有給休暇日数(繰越日数を除きます)を
みると、労働者1人平均は17.9日(令和2年調査18.0日)、このうち労働者が
取得した日数は10.1日(同10.1日)で、取得率は56.6%となっており、昭和59
年以降過去最高となっています。
取得率を産業別にみると、「電気・ガス・熱供給・水道業」が73.3%と最も高く、
「宿泊業,飲食サービス業」が45.0%と最も低くなっています。
取得率を企業規模別にみると、
1,000人以上:60.8%
300~999人:56.3%
100~299人:55.2%
30~99人 :51.2%
となっています。
また、年次有給休暇の計画的付与制度がある企業割合は46.2%(令和2年調査
43.2%)となっており、計画的付与日数階級別にみると、「5~6日」が69.1%
(同66.6%)と最も高くなっています。
年次有給休暇の取得状況については、過去に何度か出題されています。
【 H24-5-A 】
企業規模計の年次有給休暇取得率は50%を下回っており、企業規模別でみると、
1,000人以上規模の企業の方が30~99人規模の企業よりも高くなっている。
【 H8-3-C 】
労働省の「賃金労働時間制度等総合調査」(企業規模30人以上)により、
労働者1人平均の年次有給休暇の取得状況をみると、平成6年以前の10年間
については、年次有給休暇の取得率(取得日数を付与日数で除したものの
百分率)は60%未満にとどまっている。
【 H10-2-C 】
労働省の「賃金労働時間制度等総合調査」によると、大企業を中心にリフレッ
シュ休暇等の各種の休暇制度の普及が進んだことから、平成8年において、企業
規模30人以上の企業における労働者1人平均年次有給休暇の取得日数は、前年
に比べて増加し、13.4日となった。
【 H28-4-D 】
年次有給休暇の取得率は、男女ともに50パーセントを下回っている。
【 H24-5-A 】に関しては、出題当時の年次有給休暇取得率は50%を下回っ
ていたので正しかったのですが、令和3年調査では50%を上回っているので、
令和3年調査としての問題であれば、誤りになってしまいます。
【 H8-3-C 】も、正しい内容の出題でした。
出題当時の年次有給休暇取得率は50%台で推移していたので、「60%未満」
なんていう出題をしたのでしょう。
年次有給休暇取得率については、その後、平成13年調査から平成29年調査までは、
50%を下回る状況が続いていましたが、平成30年調査で久々に50%を上回り、
平令和2年、3年は2年続けて過去最高となりました。
この点は、注意しておきましょう。
【 H10-2-C 】は誤りです。
取得率がおよそどの程度なのかということを知っていれば、
判断できるでしょう。
「13.4日」では、多すぎます。出題当時は「9.4日」でした。
令和3年調査は「10.1日」です。
【 H28-4-D 】では、性別の年次有給休暇取得率を論点としていて、
出題当時は、男女計では50%を下回っていたので、男女とも50%を下回って
いるというのは、もっともらしいのですが、性別で見た場合、女性は50%を
上回っていたので、誤りです。
令和3年調査に関しては、厚生労働省が公表した「令和3年就労条件総合調査
の概況」に記載がありませんでした。