百醜千拙草

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2014-04-11 | Weblog
すでに泥沼愛憎劇と化したSTAP騒動、日本のメディアに良識を求める方が無理なのはわかっていますが、もういい加減、悪ノリするのは止めたらどないや、と言いたくなりますね。(私もゴシップ好きですから、人の事は言えませんが)消費税増税で国内需要は冷え込み、中小零細企業と一般国民の生活を直撃する中、ゴシップ記事は政権批判から注意をそらす格好の目くらましと、体制メディアが過剰に報道するのでしょう。現に体制メディアではない (?) 東京新聞は三文で淡々と記者会見の様子を伝えて終わり、実際、中身のない会見でした。一方、朝日とサンケイは天声人語と産経抄のコラムで批判、読売に至っては社説にまで取り上げて、水に落ちた犬を叩くかのごとくのはしゃぎよう、何とかならんのでしょうかね。日本で一番最初に自己批判すべきなのは体制メディアでしょう。

本人は、意地になっての不服申し立てで、論文撤回を拒否し「STAPは本当です」というのも(いまさら「ウソでした」というワケにもいかず)仕方がないのでしょう。若山さんが「論文にはミス(捏造でなければ)が多過ぎるので、撤回すべきであり、STAPが本当かどうかは関係ない」とコメントしたそうですが、まさにその通りです。最初に若山さんが撤回を提案したのは助け船、そこで、アッサリ論文を引っ込めれば、早い目に忘れてもらえた可能性もあったのに、不服申し立てで記者会見したというのでは、メディアにとっては格好のゴシップネタ、もうこれは自殺行為に近いです。この人、多分、論文出版のころは、本当にSTAPを信じていたのでしょう。思ったようなデータが出ないならデータを作ってしまえばよい、なぜならSTAPは本当なのだから、とでも思っていたのだろうと思います。世界中の研究者からバッシングを受けて、さすがにSTAPを信じていた根拠であるOct4の発現がリプログラミングとは関係なさそうだとなって、その妄信も揺らぎはじめたが、研究における「悪意」の解釈を取り違えた弁護士を雇ってしまい、徹底抗戦の体制を取ってしまった以上、もはや引くに引けず、挙げ句に玉砕覚悟の崖っぷちに立たされた、そんな感じでした。こう解釈すれば、確かに研究不正としては悪質ではありましたが、それは研究者としての未熟さゆえの暴走であり、本来、実験データを批判的に検討することによってそういった暴走を防ぐべきはずの指導者が、今回の場合、三者そろって逆に暴走を煽ってしまったところに悲劇の原因があったのだろうと思います。下のKnoepfler氏の「指導者はどこだ」という言葉が、この事件の本質の一端を突いていると思います。

純粋にステムセルに興味をもっている研究者の中では、STAPはすでにもう関心のない話になりつつあります。ただし、このメディアの悪ノリは、それなりに悪影響があるでしょう。この会見に際して、多分、大多数の研究者の気持ちを代弁していると思われるPaul Knoepfler氏のコメントから2 -3抜き書きします。

会見を見るのは痛々しかった。
しかし、科学者の立場からすると、このSTAP騒動はステムセル分野の研究に大変な悪影響があったと言わざるを得ない。
そして、この記者会見は、ステムセル研究にも、オボカタを含む関係者にも、何一ついい事をもたらさなかったと確信する。

正直、この会見のあと、STAPのことは信じる気持ちは以前にも増して少なくなった。会見を見ていて、何度も思った事は、「一体、指導者たちはどこにいるのだ?」ということだ。


悲劇だと思います。
とにかく、もうこの騒ぎは十分です。普通の研究者なら現時点ではSTAPに興味は失っているでしょう。STAPが第三者によって再現できるまでは、これ以上サイエンスとして興味深いことは何もないと思います。今回の事件、数年前に「リンのかわりにヒ素をDNAに取り込む細菌を発見した」というサイエンスの論文を出して、その直後から世界中の研究者にボコボコにされた研究者の人の末路を思い出させます。もう、そっとしておいてあげたらどうでしょう。忘れて、次、行きましょう。

ところで、福島第一の作業員不足が深刻なようです。試算によるとこれから廃炉までの30年間にのべ1800万人の作業員が必要なようで、これはまさに戦争です。これだけの人数を危険を伴う作業に駆り出すためには、強制的にやるしかなくなるのではないでしょうか。着々とアベ政権がやってきたのは、この国内の「核との戦争」に使う兵士を否応なく徴兵するための下地づくりであったのかも知れません。その戦争もいわば負け戦、廃炉という敗戦処理のために多大な国民の生命を強制的に危険に晒すことになるのかも知れません。なんとも虚しくも悲しいことです。
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