東京新聞の社説、週のはじめに考える 若手に研究費をばらまけ から。
私も同様に思います。税金で賄う研究を投資であるとすると、プロならば、目先のリターンを目指して一部の成長株に集中投資することはしないでしょう。Divertification は長期投資の基本であり、集中投資はは短期リターンを狙ってバクチで負けるいつものパターンです。
アメリカNIHでは、数年前から「evidence based funding」というような概念の元に、研究資金の配分を最適化していこうと考えているようです。現在のところ、NIHが資金を提供した研究者がどれぐらいの研究成果を上げているかということを分野を超えたメトリクスを開発して評価するというようなことをやっている段階です。例えばこういうようなサイトを立ち上げています。アメリカも日本同様、研究費の獲得がブッシュ政権以来、困難となっているのに加え、研究費の総額は変化していないのに、インフレによる経費の上昇、規制の増加、そして増え続ける研究費申請応募数に伴い、ブッシュ前と比べて、採択率は-50%の減少、購買力は20%以上の減少を示しており、研究を志す若手の優秀な人々は減少していると思います。(当然ですな)
問題のコアは、金に対して研究者の数が多すぎることに集約できます。そのバランスを長期的にどうとっていくのか、それは研究機関や学位授与機関、政府、複数のパーティーの利害が複雑に絡み合うので、簡単ではないでしょうが、根本的な解決はそれしかありません。クリントンが短期的リターンを目指して急激に研究資金を増やしたこと、その後ブッシュが同様に短期的視野で研究費を抑制したことが、以来15年近くに及び、まだまだ続くであろう、現在の研究費問題の原因となっていると思います。
とは言え、NIHはNIHでできることをしなければなりません。Evidence-based fundingのアイデアの元になっているのは、税金による研究資金の分配が国家の投資であるとした場合に、そのリターンを考慮して、次の投資ストラテジーを考える、というごく当たり前の考えです。そうした投資方法と単に無闇にバラまくのとどちらがリターンが良いかは、研究の場合はやってみて長期的に解析するしかありませんが、少なくとも、理論とデータに基づいて投資方法を見直していこうというのは、科学的アプローチであり、少なくとも、研究配分方法について評価することは可能になると思います。しかるに、現在、資金配分法には、研究費の投資のリターンを公平に定量的に評価することが困難であるという問題以前に、そもそも、投資効率はほとんど評価されていないと言って良い現状があります。すなわち、研究者にとって研究費の獲得というのはすでにゴールであり、その金によって何が生み出されたかという点はfundingの決定に直接関与しないのです。もちろん、論文を第一の研究成果とすれば、論文の書けない人にはまず研究費は当たりませんから、「生産性」の評価はされていますが。現状は、研究費申請に書いた内容など、すぐ時代遅れになるし、もちろん研究費の申請の目的は、計画にある研究を遂行することではなく、研究費を獲得することですから、多くの場合、評価の対象になった研究計画のかなりの部分は遂行されないと思います。もちろん、私はそれはOKだと思います。研究費が降りた時点で、計画を忠実に遂行するよりも、より有意義なものに研究費が使われて、より大きな価値を生み出す方が上ですから。同じ研究費でも、グラントはコントラクトとは違います。
研究費配布に関しては、私は、少額のグラントを増やして、広くばらまいた上で、生産性を主な基準とした競争的研究資金分配を積み上げるという方式が良いだろうと思います。分散投資の上に一部の資金で成長株に集中投資するというやり方です。それで金が足りないのであれば、金ができるまで、私ならインデックスファンドを買いますね。多少負けても大丈夫なぐらいの体力もない時には、バクチをすると負けます。貧すれば鈍する、引き寄せの法則ですね
軍学共同研究が話題になる一方で、基礎科学の危機が叫ばれています。「役に立つ」ばかりが研究目的ではありません。急減する若手研究者を支えたい。
きっかけは、ノーベル医学生理学賞の受賞が決まった大隅良典・東京工業大栄誉教授の訴えです。
受賞決定直後の記者会見で、自らの研究について「人がやらないことをやろうと酵母の液胞の研究を始めた。がんにつながるとか、確信して始めたわけではない。基礎科学の重要性を強調したい」と話しました。
◆「役に立つ」の危うさ、、、一方で「科学が役に立つというのが、数年後に企業化できることと同義語になっている」と最近の風潮を批判しました。理学部長会議も声明の中で「『役に立つ』研究推進の大合唱が基礎科学を目指す若手の急激な減少をもたらしています」と警告しています。、、、
◆1人に年間100万円を、、、大隅さんは日刊工業新聞のインタビューで「年間百万円のお金があれば、やりたいことをやれる研究者が日本にはたくさんいる。もう少し研究費をばらまいてほしい」「小さな芽をたくさん育てなければ、大きなとんがった成果は生まれない。、、 文部科学省は先月十三日、大学から支給される研究費が年百万円に満たない研究者が約八割とするアンケート結果を発表しました。
、、、防衛省が軍民両用の基礎研究費として百十億円要求しています。評判の悪い予算をやめて、文科省予算を増額すればよいのです。一万一千人に百万円ずつ配れます。
きっかけは、ノーベル医学生理学賞の受賞が決まった大隅良典・東京工業大栄誉教授の訴えです。
受賞決定直後の記者会見で、自らの研究について「人がやらないことをやろうと酵母の液胞の研究を始めた。がんにつながるとか、確信して始めたわけではない。基礎科学の重要性を強調したい」と話しました。
◆「役に立つ」の危うさ、、、一方で「科学が役に立つというのが、数年後に企業化できることと同義語になっている」と最近の風潮を批判しました。理学部長会議も声明の中で「『役に立つ』研究推進の大合唱が基礎科学を目指す若手の急激な減少をもたらしています」と警告しています。、、、
◆1人に年間100万円を、、、大隅さんは日刊工業新聞のインタビューで「年間百万円のお金があれば、やりたいことをやれる研究者が日本にはたくさんいる。もう少し研究費をばらまいてほしい」「小さな芽をたくさん育てなければ、大きなとんがった成果は生まれない。、、 文部科学省は先月十三日、大学から支給される研究費が年百万円に満たない研究者が約八割とするアンケート結果を発表しました。
、、、防衛省が軍民両用の基礎研究費として百十億円要求しています。評判の悪い予算をやめて、文科省予算を増額すればよいのです。一万一千人に百万円ずつ配れます。
私も同様に思います。税金で賄う研究を投資であるとすると、プロならば、目先のリターンを目指して一部の成長株に集中投資することはしないでしょう。Divertification は長期投資の基本であり、集中投資はは短期リターンを狙ってバクチで負けるいつものパターンです。
アメリカNIHでは、数年前から「evidence based funding」というような概念の元に、研究資金の配分を最適化していこうと考えているようです。現在のところ、NIHが資金を提供した研究者がどれぐらいの研究成果を上げているかということを分野を超えたメトリクスを開発して評価するというようなことをやっている段階です。例えばこういうようなサイトを立ち上げています。アメリカも日本同様、研究費の獲得がブッシュ政権以来、困難となっているのに加え、研究費の総額は変化していないのに、インフレによる経費の上昇、規制の増加、そして増え続ける研究費申請応募数に伴い、ブッシュ前と比べて、採択率は-50%の減少、購買力は20%以上の減少を示しており、研究を志す若手の優秀な人々は減少していると思います。(当然ですな)
問題のコアは、金に対して研究者の数が多すぎることに集約できます。そのバランスを長期的にどうとっていくのか、それは研究機関や学位授与機関、政府、複数のパーティーの利害が複雑に絡み合うので、簡単ではないでしょうが、根本的な解決はそれしかありません。クリントンが短期的リターンを目指して急激に研究資金を増やしたこと、その後ブッシュが同様に短期的視野で研究費を抑制したことが、以来15年近くに及び、まだまだ続くであろう、現在の研究費問題の原因となっていると思います。
とは言え、NIHはNIHでできることをしなければなりません。Evidence-based fundingのアイデアの元になっているのは、税金による研究資金の分配が国家の投資であるとした場合に、そのリターンを考慮して、次の投資ストラテジーを考える、というごく当たり前の考えです。そうした投資方法と単に無闇にバラまくのとどちらがリターンが良いかは、研究の場合はやってみて長期的に解析するしかありませんが、少なくとも、理論とデータに基づいて投資方法を見直していこうというのは、科学的アプローチであり、少なくとも、研究配分方法について評価することは可能になると思います。しかるに、現在、資金配分法には、研究費の投資のリターンを公平に定量的に評価することが困難であるという問題以前に、そもそも、投資効率はほとんど評価されていないと言って良い現状があります。すなわち、研究者にとって研究費の獲得というのはすでにゴールであり、その金によって何が生み出されたかという点はfundingの決定に直接関与しないのです。もちろん、論文を第一の研究成果とすれば、論文の書けない人にはまず研究費は当たりませんから、「生産性」の評価はされていますが。現状は、研究費申請に書いた内容など、すぐ時代遅れになるし、もちろん研究費の申請の目的は、計画にある研究を遂行することではなく、研究費を獲得することですから、多くの場合、評価の対象になった研究計画のかなりの部分は遂行されないと思います。もちろん、私はそれはOKだと思います。研究費が降りた時点で、計画を忠実に遂行するよりも、より有意義なものに研究費が使われて、より大きな価値を生み出す方が上ですから。同じ研究費でも、グラントはコントラクトとは違います。
研究費配布に関しては、私は、少額のグラントを増やして、広くばらまいた上で、生産性を主な基準とした競争的研究資金分配を積み上げるという方式が良いだろうと思います。分散投資の上に一部の資金で成長株に集中投資するというやり方です。それで金が足りないのであれば、金ができるまで、私ならインデックスファンドを買いますね。多少負けても大丈夫なぐらいの体力もない時には、バクチをすると負けます。貧すれば鈍する、引き寄せの法則ですね
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