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野沢温泉の無料足湯に漬かっていたら、アシナガバチが浮いていた。
弱アルカリ性硫黄泉の高温湯を人間には程よい熱さに薄めてあるけれど、蜂には毒だろう。
よくよく観れば、足を動かしつつゆるくもがく様子なので救ってやろうかと考えた。
両手でお湯ごとすくって外に出してやったら良いものを、片手てのひらでも素早くやれば刺すことはないだろうと、いちかばちかの気が湧いてしまう。
そういうことをしては、色んな失敗をして来たのだけれど、この歳この期に及んでも小さなスリルがやめられない。
左手ですくい取ると同時に放りだすと、結果ことなきを得て、蜂も穏やかに翅を整え始めた。
となれば、もう興味は失せてそこでお終いなのだが、画像から検索してみれば、刺されるとスズメバチと同じくらいの痛みのセグロアシナガバチとある。
巣を刺激しているわけでも、じかに掴むわけでもないから刺されることはまずもってないだろうという確信があるので、へーそうだったかと思うだけ。
歴史ある温泉場に行きながら、晴れていれば妙高も望めるらしい高台の足湯にしか漬からず、お薄を呑み、焼鳥丼とソフトクリームを食べ、温泉饅頭を買っただけ。