鳥瞰ニュース

空にいるような軽い気分で・・・

地敬(chikei)という舞踏  その4 息を凝らした1時間

2022年08月03日 09時45分09秒 | アングル




咳払いもくしゃみもない、目を凝らし息を凝らす時間が過ぎ、ディジュリドゥの単調で複雑な音楽が止むと、今度はアメリカ音楽と思われる曲が流された。
すると二人の演者は、ゴリラのような動きをしつつそれまでと同様ゆっくりと舞台中央で並び、しゃがみ、ゴリラのまま立ち上がり、ゴリラのまま列を作って上手に消えていった。
1時間という刻が過ぎていると、私たち観客は誰も意識していなかったのだろうと思う。
不思議な時を過ごし、演者から言葉は全く発せられなかったから、ほぼ全裸白塗り男二人が去った後も何かが起きそうでただ黙っていた。
そうしたら、『これで終わりです』という放送があり、そこで皆が我に返ったように拍手がぱらぱらと起こり、ためらいがちに続いた。
咳払いが一斉に起きるわけでもなく、指笛が鳴るわけでもなく、熱狂的歓声もなく、野外なので拍手は響かずに消えていく。
続いて『親睦会を行いたいと思いますので、どうぞごゆっくりとご歓談ください・・飲み物と料理を用意しています・・』という放送があった。
白塗りの演者二人もそこに居たので、しばらくしてから『すごい重労働ですね!?普段どういう訓練をされてるんですか?』と、とんちんかんな問いかけをしてみた。
『静止しているのは辛いけど、少しでも動いている場合は、どんな格好の動きでもそれほど辛くはない・・・』
『ぼくたちは、神奈川県の・・・に属していて・・』というようなことを聞くことができた。
もっとマシな問いかけとねぎらいと感動を伝えられなかったものかと、自分が残念で仕方ないけれど、暗黒舞踏について調べてみた。
土方巽の弟子(?)だった人の作った【とりふね舞踏舎】に属している二人なのだろうと解った。
有名な山海塾もいつか観たいと思ってはいたが、今回ようやくButohを観ることができて、次は同じく大地の芸術祭のイベントで、田中泯演じる【場踊り】を観ようかと・・。
コメント (2)
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