田中泯氏のプロフィールを見るまでもなく、老人と呼んでもよいくらいの年齢なのだが、手足が長くてすばらしいプロポーションと姿勢だった。
不摂生で体型を崩すようなことはたぶん一度もなくて、労働で固太りした肉体でもなく、計画的なトレーニングで鍛えた筋肉が付いている風でもない。
特定のスポーツを連想させる体つきではないのは、ただひたすら体ひとつで表現する踊りを踊ってきた人なのだろうなどと思わせられた。
池の中に寝転んだり四つん這いでじゃぶじゃぶしたりしてびしょ濡れの着物をたくし上げたときに見えた太ももの素晴らしさには息を飲んだ。
それでも歳を考えたら、激しく狂い踊り始めることは期待しにくくて、それはないままに時間が過ぎた。
沖縄の踊りのような阿波踊りのような手振りがあったときに、だれか客席から入り込んで一緒に踊ったら良いのにとさえ思った。
そのような演出はなく、観衆を巻き込むような誘いも煽りもなく、ただ独りで老人が40分を広い池でゆったりと、ほんのときたまちょっとだけ激しめに動くだけで、声はださない。
ミストの雲が湧き上がり続け、南と西の客席のうち、西側客席に流れるので場所によっては演者の見えない時間が長い。
私が選んだ席は西側南寄りだったけれど、南側東寄りの席が一番良い場所だったなぁなどと悔やんだ。
つづく
画像はホームセンターのペットコーナーで展示販売されていたトカゲ(蜥蜴)。
飼うことができないのは分かっているけれど、いやいや思い切ればできないことはないけれど、値段は見なかった。
今後は、このホームセンターに行く度に会いに行くことになるだろうと思いつつ、気持が高じたらこれも困る。