
もうそろそろ終わりかという頃に西側客席近くにやってきて、そのときに太ももが見えたのだけれど、その後で南側客席近くにも行き、それでも観客はじっと黙って見守る。
近くに来られると緊張が走るといった感じではあるけれど、突発的なことは起きず、客はあっけにとられてフリーズ状態なら、演者は動物園の来園客を観ている獣状態。
やがて、それまでの打楽器というより何かの打音の集合音楽が終わり、やわらかい曲になったのは、前に観た暗黒舞踏と同様に、もう終わりですよという合図なのだった。
そうして、田中泯氏は帽子を取り、良く聞き取れなかったけれど感謝を口にしつつにこやかに西側と南側に向かって何度もお辞儀をした。
その後で、誰かに感謝の言葉を述べて紹介すると、白いゴム長を履いた小太り派手目なオバさんがじゃぶじゃぶと田中泯氏のところに歩み寄った。
距離を保った礼儀正しいハグをして、次に紹介されたのが南側の小さなブースに入っていた女性で、どうやら霧発生のオペレーター。
後で知ったことだが、そのオバさんは、『霧の彫刻』というものを創り上げた中谷芙二子という人で、ノズルから出ていた霧は彼女の芸術だった。
つまり、池の芸術と霧の芸術と舞踏芸術と打音音楽芸術の融合の合作芸術作品だったようだ。
尚、中谷芙二子氏は人工雪の研究で有名な中谷宇吉郎博士の娘であり、中谷宇吉郎は雪の研究で我が雪国を訪れたことがあり、娘さんもこちらに縁を感じたとか。
つづく
玄関前の枯れたタチアオイに登っていたニホンカナヘビ(日本金蛇)を昨日見つけたので、静かに近づいた。
たいていは一瞬の状況判断後に素早く逃げるけれど、登っているところだったので、上に行くかダイブするしかない。
進退窮まるとフリーズするのか、これも選択肢のひとつなのかしばらくじっと動かなかった。
目はぱっちりと開けたままだったから、死んだふりではなさそうであり、カナヘビの由来たる黄色の腹をじっくりと撮ることができた。