和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

死活の問題。

2007-09-24 | Weblog
読売新聞9月23日の一面・二面と「地球を読む」欄に、山内昌之氏が「テロ特措法 海上給油『日本のため』」と題して書いております。
その最初を引用します。

「アフガニスタンとイラクの現状は、中東の政治構図を変えつつある。新しい変動で重要なのは、政治の重心がエジプトなど地中海沿岸からペルシャ湾岸へ移動している点にある。・・・・中東に輸入石油の90%も依存する自動車社会の日本にとって、消費用の安価な石油需要がますます増える以上、ペルシャ湾からインド洋にいたる海上交通路の安全保障は死活の問題なのである。」

ここから、分かりやすく国連安保理決議を踏まえながらの説明がつづくのですが、
ここでは、山内氏の文章の最後を引用しておきます。

「何にしても、イラクの陸自の場合と違い、日本は給油活動によって陸上の危険な任務から免れているのだ。形式上これほど明白に国益優先の一国主義的行動がこぞって国際的支持を得ているのは、奇貨というべきだろう。こうした有利な外交的立場を国連重視の美名のもとに放棄する必要はまたくないのである。」

ところで、
読売新聞9月22日の「論点」欄に田中明彦氏が、変な違和感を抱かせる文章を載せております。
その箇所とは
「私は、テロ特措法の延長問題は、重要な外交・安保課題であると思うし、何とか海上自衛隊の艦船がテロとの戦いに参加している他国の艦艇への給油活動を継続できるようにするのが望ましいと思っている。しかし、これが最大の外交課題、ましてや政局を決する最重要課題だと思うことは、現在の国際環境の解釈として間違っている。なぜなら、現在の国際環境の下、日本外交が全力を投入すべきは、第一に地球環境問題であり、第二に拉致問題を含む北朝鮮問題であり、第三に中国との関係を健全化することだからである。・・・」

う~ん。するとテロ特措法の問題は、第何番目に田中明彦氏は考えておられるのでしょう?何か私には、全力で駆けているマラソン走者に向って、目標は別にあるよと囁くように聞こえます。確かに90%の石油が日本にこなくなれば、地球環境に優しくはなるでしょうけれど。それに拉致・中国問題というのは、米国や国連との関連で押さえなければ空論に帰してしまうと思うのですが、そこいらは、どうなのでしょう。

田中氏は「分割政府となった場合の通例」として、これはこれで、もう割り切らなければいけないのだとしているようです。文章の最後はこうでした。

「・・・これに加えて自衛隊の給油活動の延長もできれば上々だ。もし民主党が賛成しないのであれば、給油活動の停止は民主党の責任なのであるから、政権としては、他のより重要な外交課題を粛々と、しかも効果的に行う体制をつくっていくべきである。」


何か、意見のための意見を聴いているような気分になります。
こうした田中明彦氏の指摘した道筋を、どうしても回避し、
テロ特措法の問題に、あらためて、民意の関心を集めて舵をきろうとした。
それが、安倍首相の辞任が、提起した重要問題であろうと思うわけです。

テロ特措法への理解と説得ということでは、山内昌之氏の語りかけが本筋だと私は思っております。田中明彦氏は「政権は自らの信じる政策を野党に全力で説得する」とあります、田中氏の「テロ特措法」への説得を聞きたかったのですが、田中氏の説教を聞かされた気分でした。


コメント
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