9月12日。昼から安倍首相辞任の報道がテレビで流れておりました。
それについて思う事を書きます。
月刊誌「Voice」10月号は、9月10日に発売。
その雑誌に巻末御免と題して谷沢永一のコラムが連載274回目をむかえておりました。ちなみに、谷沢永一氏は「執筆論」にこう書きつけております。
「何かある事件が突発したとしよう。ただちに夜のテレビに映像をもって報ぜられ、画面では必ずその道で専門家と謂われる人が現れ、したり顔に即席の解説(コメント)を加える。事柄が大きければ新聞各紙が追い続ける。週刊誌がここぞとばかり掘りさげてゆく。知名の士が考えうるかぎり詳しく分析を重ね。敵手(ライバル)誌の『諸君!』は翌月の二日(今は一日)に早くも詳細を報じるであろう。そして『Voice』の発行は翌月の10日、最後の出現である。しかし原稿は遅くとも前月の中旬に送らねばならぬ。あらゆる方面から何も彼も議論されつくしたあと、雁も鳩も飛んでから時期(タイミング)をはずしてのったり現れるのである。」(p190~191)
以上のことを谷沢さんは「月刊誌コラムの泣きどころ」と指摘しておりました。
ところが、「月刊誌コラムの面目」とも呼ぶべきコラムを、私は読んだのです。
それが今回でた「Voice」10月号なのです。
これを、一人でも多くの方に読んでもらいたいと、私は思って書きます。
それは、古森義久氏の「巻頭の言葉」でした。
題して「政局のための悪質な反米」。
はじまりは
「『日本の反米とか嫌米というのは、甘えの裏返しだと思いますよ。ある意味で無知であり、偏見であり、誤解だと思うんです』こんな言葉をワシントンで述べたのは、いまの民主党代表の小沢一郎氏だった。1994年7月、当時は新生党代表幹事だった小沢氏が私との対談で述べた言辞である。『産経新聞』でそのまま報道された。」
こう前置きして、次に重要な問題を取り上げます。
「参議院選挙の直後、トーマス・シーファー駐日アメリカ大使と会談した小沢氏はテロ対策特別措置法の延長に反対を表明した。その会談の様子を小沢氏は、すべて日本側のマスコミに見せるという異例の悪趣味な芸当をやってのけた。日本を日米同盟のよきパートナーとか、国際社会の責任ある一員と認めるならば、日本の政治家によるこれほど無謀で非礼な言動も珍しい。この反対は日米同盟の堅持や国際安全保障への貢献という日本の最近のコンセンサスに近い基本路線に背を向ける態度であるうえに、日米間のこの種の重要会談をすべて外部にさらけ出すというのは、外交儀礼を踏みにじっているからだ。」
つづけて
「アメリカ側での反発も激しい。元国防総省日本部長のジム・アワー氏が語る。
『日本がテロ特措法に基づきインド洋で実行している自衛隊の給油活動は、アフガニスタンでの対国際テロ作戦を支えている。この作戦はアメリカ国内で超党派の強い支援を得ている。ほかの諸国の参加も多い。日本がその参加をやめることは日米同盟や国際安保協力からの離反と見なされかねない。・・』小沢氏は反対の理由としてアフガニスタンでの多国籍軍の行動は『アメリカの戦争だ』と断じ、『国連に承認された行動ではない』と主張した。だがアワー氏は『日本の安全保障にとって重大な北朝鮮からの攻撃や中国の台湾への攻撃、さらには日本本土へのほかの脅威に国連が対処してくれるのか』と問う。日米同盟の抑止力こそが日本や東アジアの平和を守る礎石だという意味だろう。小沢氏の国連至上論の否定である。」
こうして古森氏の文は、雑誌で3ページ。はしょって最後の言葉を引用します。
「政治パフォーマンスも、こと日本の国家安全保障の根幹に絡む対米安保関係や国際安保協力を踏み台にするとなると、日本全体への重大な危険さえ冒すこととなる。中国とロシアが主導する上海協力機構各国の八月中旬の合同軍事演習ひとつみても、明らかに日本を視野に入れており、日本の安全保障を国内政争の卑近な駆け引き材料にするべきではないのである。」
こうまとめております(是非、丁寧に全文を読んでいただきたい)。
どうやら、この古森氏の語る意味を、なによりも実感しているのは、
一国の首相である安倍氏であります。
9月11日の産経新聞一面では
【洋上給油継続 首相「職を賭す」】と黒に白抜き文字でありました。
最初はこう書かれております。
「安倍晋三首相は9日、外遊先のシドニーでテロ対策特別措置法の延長に『職を賭していく』と述べ、自ら退路を断った。10日召集の臨時国会は衝撃の幕開けとなり、野党は『政権交代に向けた戦時体制国会だ』(山岡賢次民主党国対委員長)と対決色を鮮明にさせた。・・・」とはじまっておりました。
今日の午後2時からの安倍首相の辞任記者会見。それを見る前に、
私は「Voice」10月号の古森義久氏のコラムを読んでおりました。
読んでいなければ、その意味するところがわからなかったでしょう。
そろそろ、平和が終る頃なのでしょう。
政争の具にしてしまったことで、歴史の一線を越える瞬間に立ち会っている
ことを自覚しなければいけない時期にきているようです。
つけくわえます。
「Voice」10月号には潮匡人氏も「徹底検証 民主党『マニフェスト』」という特集で、テロ特措法についてを書いておりました。題して「国際社会は日本を侮蔑する」。はじまりは「この秋、日本は国際社会の孤児になるかもしれない。」(P72~74)
この一文が具体的で明快な理解を助けます。こちらも是非一読を。
それについて思う事を書きます。
月刊誌「Voice」10月号は、9月10日に発売。
その雑誌に巻末御免と題して谷沢永一のコラムが連載274回目をむかえておりました。ちなみに、谷沢永一氏は「執筆論」にこう書きつけております。
「何かある事件が突発したとしよう。ただちに夜のテレビに映像をもって報ぜられ、画面では必ずその道で専門家と謂われる人が現れ、したり顔に即席の解説(コメント)を加える。事柄が大きければ新聞各紙が追い続ける。週刊誌がここぞとばかり掘りさげてゆく。知名の士が考えうるかぎり詳しく分析を重ね。敵手(ライバル)誌の『諸君!』は翌月の二日(今は一日)に早くも詳細を報じるであろう。そして『Voice』の発行は翌月の10日、最後の出現である。しかし原稿は遅くとも前月の中旬に送らねばならぬ。あらゆる方面から何も彼も議論されつくしたあと、雁も鳩も飛んでから時期(タイミング)をはずしてのったり現れるのである。」(p190~191)
以上のことを谷沢さんは「月刊誌コラムの泣きどころ」と指摘しておりました。
ところが、「月刊誌コラムの面目」とも呼ぶべきコラムを、私は読んだのです。
それが今回でた「Voice」10月号なのです。
これを、一人でも多くの方に読んでもらいたいと、私は思って書きます。
それは、古森義久氏の「巻頭の言葉」でした。
題して「政局のための悪質な反米」。
はじまりは
「『日本の反米とか嫌米というのは、甘えの裏返しだと思いますよ。ある意味で無知であり、偏見であり、誤解だと思うんです』こんな言葉をワシントンで述べたのは、いまの民主党代表の小沢一郎氏だった。1994年7月、当時は新生党代表幹事だった小沢氏が私との対談で述べた言辞である。『産経新聞』でそのまま報道された。」
こう前置きして、次に重要な問題を取り上げます。
「参議院選挙の直後、トーマス・シーファー駐日アメリカ大使と会談した小沢氏はテロ対策特別措置法の延長に反対を表明した。その会談の様子を小沢氏は、すべて日本側のマスコミに見せるという異例の悪趣味な芸当をやってのけた。日本を日米同盟のよきパートナーとか、国際社会の責任ある一員と認めるならば、日本の政治家によるこれほど無謀で非礼な言動も珍しい。この反対は日米同盟の堅持や国際安全保障への貢献という日本の最近のコンセンサスに近い基本路線に背を向ける態度であるうえに、日米間のこの種の重要会談をすべて外部にさらけ出すというのは、外交儀礼を踏みにじっているからだ。」
つづけて
「アメリカ側での反発も激しい。元国防総省日本部長のジム・アワー氏が語る。
『日本がテロ特措法に基づきインド洋で実行している自衛隊の給油活動は、アフガニスタンでの対国際テロ作戦を支えている。この作戦はアメリカ国内で超党派の強い支援を得ている。ほかの諸国の参加も多い。日本がその参加をやめることは日米同盟や国際安保協力からの離反と見なされかねない。・・』小沢氏は反対の理由としてアフガニスタンでの多国籍軍の行動は『アメリカの戦争だ』と断じ、『国連に承認された行動ではない』と主張した。だがアワー氏は『日本の安全保障にとって重大な北朝鮮からの攻撃や中国の台湾への攻撃、さらには日本本土へのほかの脅威に国連が対処してくれるのか』と問う。日米同盟の抑止力こそが日本や東アジアの平和を守る礎石だという意味だろう。小沢氏の国連至上論の否定である。」
こうして古森氏の文は、雑誌で3ページ。はしょって最後の言葉を引用します。
「政治パフォーマンスも、こと日本の国家安全保障の根幹に絡む対米安保関係や国際安保協力を踏み台にするとなると、日本全体への重大な危険さえ冒すこととなる。中国とロシアが主導する上海協力機構各国の八月中旬の合同軍事演習ひとつみても、明らかに日本を視野に入れており、日本の安全保障を国内政争の卑近な駆け引き材料にするべきではないのである。」
こうまとめております(是非、丁寧に全文を読んでいただきたい)。
どうやら、この古森氏の語る意味を、なによりも実感しているのは、
一国の首相である安倍氏であります。
9月11日の産経新聞一面では
【洋上給油継続 首相「職を賭す」】と黒に白抜き文字でありました。
最初はこう書かれております。
「安倍晋三首相は9日、外遊先のシドニーでテロ対策特別措置法の延長に『職を賭していく』と述べ、自ら退路を断った。10日召集の臨時国会は衝撃の幕開けとなり、野党は『政権交代に向けた戦時体制国会だ』(山岡賢次民主党国対委員長)と対決色を鮮明にさせた。・・・」とはじまっておりました。
今日の午後2時からの安倍首相の辞任記者会見。それを見る前に、
私は「Voice」10月号の古森義久氏のコラムを読んでおりました。
読んでいなければ、その意味するところがわからなかったでしょう。
そろそろ、平和が終る頃なのでしょう。
政争の具にしてしまったことで、歴史の一線を越える瞬間に立ち会っている
ことを自覚しなければいけない時期にきているようです。
つけくわえます。
「Voice」10月号には潮匡人氏も「徹底検証 民主党『マニフェスト』」という特集で、テロ特措法についてを書いておりました。題して「国際社会は日本を侮蔑する」。はじまりは「この秋、日本は国際社会の孤児になるかもしれない。」(P72~74)
この一文が具体的で明快な理解を助けます。こちらも是非一読を。