和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

読書の世代交代。

2012-02-09 | 地震
古い雑誌は、とかく紛失してしまいやすいですね。
けれども、気になる雑誌は、きちんと保存しておきたくなります。
そんな一冊に、1995年の雑誌「ノーサイド」五月号(特集は「読書名人伝」)がありました。捨てたくても、おもわず躊躇する一冊(笑)。
きちんと保存しておけば、つい取り出したくなる一冊です。
まあ、そういうわけで、本棚からとりだしてみました。

こんかい、はじめて気づいたのは、
あれ、徳岡孝夫氏が「不惜身命」と題して(8ページほど)書いていたのでした。読み甲斐あり。はじめて読みました。単行本には未収録のはず。

さて、この雑誌五月号の発行された1995年。
その1月には阪神淡路大震災が起きておりました。
それで、はじまりに「大地震と読書人」という特集。
谷沢永一氏が「阪神大震災わたしの書庫被災白書」。
写真とともに六ページほど。
たしか、私はこれが読みたくて買ったのだろうなあ。
そのすこしあとに「関東大震災は焚書だった」と題して坪内祐三氏の文。
そこに、「炎を上げて燃える帝大図書館」の写真。

そのあとの対談にも、震災と本にまつわる話題が登場しておりました。
山口昌男と池内紀の対談となっておりますが、
そこに坪内祐三が司会役としてくわわって、
震災の話題に言及しておりました。その坪内氏の語る箇所だけでも。


坪内】 よく関東大震災で東京の街並みが変わったとか言われるけども、そういう外面的なことだけじゃなくて、内面の部分でも関東大震災で一つの断絶がある。その断絶を象徴する大読書家が芥川龍之介のような気がするんです。

坪内】 震災と前後して読書家たちの世代交代があった気がします。

坪内】 話を戻しますと、一番いけないのは、大正になって、岩波茂雄が岩波書店をつくりますね。そのとき岩波の一高時代の同級生だった若い学者連中の力を借りて、哲学叢書のシリーズを出すんです。それを旧制高校生が争って読むようになっちゃたでしょう。博文館にしても、春陽堂にしても、実業之日本社にしても、震災までの出版社というのはかなり面白い雑学的なものを出していたんですけどね。

坪内】 教養主義的な読書がなんでよくないかというと、受験勉強もそうだけど、そういうのは誰かに勝つための、競争するためのすごく孤独な、どんどん自分を孤立させていく読書じゃないですか。
池内】 その種の読み方は、しょせんは自分の中にあるものしか読みとらない。発見がない。


うんうん。関東大震災後の読書の世代交代。
それでは、東日本大震災の後の、読書は、
これから、どのように変化していくのでしょうか。
そんなことを、思いながら方丈記読み。
コメント
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