和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

正体なのでは。

2012-02-15 | 短文紹介
小長谷有紀著「ウメサオタダオと出あう 文明学者・梅棹忠夫入門」(小学館)が楽しい。2010年3月10日より万博公園で開催された国立民族学博物館主催のウメサオタダオ展。その「はっけんカード」というアンケートに、小長谷有紀さんがまとめながら、あれこれ答えてゆくという一冊。もともと返事を期待したアンケートではないためか、その答えてゆく過程がそのままに民俗学博物館のこころざしを感じさせる、という読後感を味わえるようになっており、なんだか気持ちが厚みをもってふくらむような気がします。

ちなみに、まえがきで小長谷さんはこう書いておりました。

「開幕翌日、宮城県沖で大地震が発生した。未曾有の放射能被災を含む、東日本大震災に見舞われ、展示を企画した一人としてわたしは、そもそも混迷の時代にこそ梅棹忠夫を読み解く必要性を強く感じていたから、こうした艱難辛苦の時に至ってなおのこと、より多くの人びとにウメサオタダオと出あってもらいたいと望んだ。」

第一章「わたしの発見」は、こうはじまっております。

「2011年3月11日に発生した東日本大震災以降、『勇気をもらった』という表現をよく耳にするようになった。落ち込んだときに人が何を必要としているかが、ストンとよくわかる表現だ。・・・極端に簡単に言ってしまえば、わたしがわたしを認めること、それが『勇気をもらう』ことの正体なのではないだろうか。」(p10)


こうしてはじまる一冊。2011年12月17日初版とあります。

ちなみに、東京都江東区の日本科学未来館で開催されている「ウメサオタダオ展」は2月20日までとのこと。う~ん。行きたいけれど・・・・。私は、カタログと本とで我慢します。
コメント
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