和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

恩送り。

2012-09-11 | 短文紹介
産経歌壇(2012年7月4日)
伊藤一彦選のはじめに

 ささやかな恩送りとして
    肩をかす車内で眠る就活生に
     川崎市・大平真理子

その選評は
「恩送りとは、誰かから受けた恩をその人でなく別の人に送ることだ。『ささやかな』その場面の具体的描写が生きている。かつての恩義を忘れぬ清々しい心。」
とあります。

そういえば、
佐高信・田中優子「池波正太郎『自前』の思想」(集英社新書)を
パラパラとめくっていたら、第三章「家族の肖像」に、こんな対談箇所がありました。

田中】 あるお寺に行ったときに『恩送り』という言葉を聞いたんです。恩返しの中に恩送りというものがあるそうなのですが、誰かから恩を受けたとき、その人に返すのではなくて、まったく別の人にお返しをすることです。そうやって、恩を送っていくという考えかたなんです。実際に江戸時代の言葉としてありました。
佐高】 なるほど。普通は恩を受けた相手にと考えるところだけど。恩を受けた人に返すんじゃないところが面白いですね。一対一の人間関係の枠を超えた考えかただと思います。恩そのものをお返しするということなんでしょうね。次の世代に送るという考えかたであるとも考えられますね。・・・・(p114)


ということで、
いま「池波正太郎『自前』の思想」という対談を読んでいます。
コメント
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