和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

即断即決。

2012-09-28 | 他生の縁
雑誌WILLの編集長は花田紀凱氏。
そういえば、
「池波正太郎を読む」(新人物往来社)に
「担当編集者が語る 素顔の池波正太郎」という対談があって、
そこで花田紀凱氏が語っているのでした。
そのはじまりを花田氏が語っている。

花田】 僕は新入社員の頃、二年間だけ『オール読物』の編集部にいました。会社からすれば、大学を出たばかりで何も知らない新人に作家を担当させ、原稿をいただくという作業を通じて編集者としての礼儀作法を覚えさせようという狙いがあったのだと思います。僕ばかりではなく積極的に新人を『オール読物』の編集部に投入していたようなのです。僕の先輩で『文藝春秋』の編集長をつとめた堤尭さんも『オール読物』がスタートです。
彭】 その頃、池波さんはすでに偉かったのですか。

 ここからすこし長く引用してみます(笑)。

花田】 『錯乱』で直木賞は受賞されていましたが、『オール読物』では年間に一回か二回くらい短編を書いていただくという作家でした。当時、『オール読物』は四十万部ほど売れていて力のあるマスメディアだったわけでして、池波さんといえども毎月書いていただくという作家ではなかったのです。そんな『オール読物』が昭和42年12月号で時代小説特集を組むことになり、私が池波さんに短編を依頼することになった。それで書いていただいたのが『浅草・御厨河岸』です。この作品に初めて火付盗賊改方の長谷川平蔵が登場して来るのです。・・・『浅草・御厨河岸』を一読した当時の『オール読物』編集長の杉村友一さんが『これは面白い!』と即座に反応した。『花田、長谷川平蔵を主人公とした連載を頼め』と。これは当時の『オール読物』からすれば異例のことでした。大きい雑誌でしたから連載なんか、そう簡単に決められない。前々から順番があるわけじゃないですか。それをいきなり翌月の新年号から連載しようというのですから、まさしく即断即決です。この連載がやがて何十億という利益を文藝春秋にもたらすことになるのです。


うん。『WILL』の年間購読を数年間単位で予約しようかなあ(笑)。
あと、この対談で彭理恵さんは、こう語っておりました。

彭】 時間を守るということには、本当に厳しい方でした。性格とか、才能はどうにもならないけれど、時間を守ることは誰にもできるというわけです。私はある時期グラビア班にいながら池波さんを担当していました。なぜかと言うと、異動の引き継ぎの時に次の担当が大遅刻したために、池波さんの怒り爆発!それで結局、私がグラビアの仕事をしながら、担当を続けることになりました。・・・
コメント
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