和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

古風な母の提案。

2016-02-24 | 本棚並べ
渡部昇一著の新刊に
「伊藤仁斎『童子問』に学ぶ」(到知出版)が
あるのでした。買っていないのですが、
思い浮かんだのことを、このブログに記入(笑)。

中村幸彦著述集第十四巻に
「回想 この一冊(童子問)」という短文。
その最後を引用。

「私が所帯を持った初めての正月、
商家や農家で、それぞれの道具を祭る例に習って、
書物を祭っては如何と、古風な母の提案があった。
面白かろうと始めた時、
私は『古事記』や『万葉集』をもおいて、
『童子問』に燈明や屠蘇をそなえた。
それから年々歳々、私の明治刷で余り
見映えのしない色々と朱筆の入った本が、
我が家の正月の祭壇の一部を占めている。」(p90)

はい。むろん私が著述集全巻を持っている
わけではなくて、これは
谷沢永一著「日本人の論語 『童子問』を読む」
PHP新書上下巻の上巻の「例言」で
紹介されているのでした。
こちらも引用することに(笑)。

「ついでながら、伊藤仁斎の入門書としては、
中村幸彦先生の『伊藤仁斎日記抄』および
『伊藤仁斎の思想』(ともに『中村幸彦著述集9』
収録、ただし品切れ)が最も要を得て、
仁斎の全貌を尽くしている。
中村幸彦は『回想の一冊』(『著述集14』)に、
『童子問』の格調の高い、気力充実した文章の
感銘を回顧する。年々歳々、正月の祭壇に、
灯明や屠蘇をそなえるとともに、
『童子問』を祀るのが、結婚以来、
中村家の変わらぬ習慣であった。」(p21)

ちなみに、この文には間違いがありまして
『中村幸彦著述集9』とあるのは、明らかな間違い。
『伊藤仁斎日記抄』と『伊藤仁斎の思想』とは
ともに『中村幸彦著述集11』に入っております。

うん。書誌学者の本の間違いを指摘するのって
ワクワクします(笑)。
けれども、そのあとに
谷沢永一著「決定版日本人の論語」が
2015年に出ているので、訂正がなされているのかも
しれません。そちらは確認しておりませんので、
どなたか、ご存じでしたらお教えください。
よろしくお願いします。

コメント
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