和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

60歳。70歳。

2018-09-26 | 道しるべ
9月24日は十五夜でしたね。
その日の午前中、お見舞いのため病院へ。
私は運転手でした。

運転手は病院の駐車場で待つことに、
それが有に一時間をこえての待ち時間。

晴天で、住宅の込み入った中にある病院のため
駐車場も周りが植え込みがそのままに垣根となっていました。
看板に周囲が住宅地ですので、エンジンは止めておいてください。
とあります。車のエンジンをとめて、
駐車スペースには、そんなに車はなかったので、
運転席と助手席のドアを開けたままにして、
そういえば、文庫本を一冊載せてあったと、
読み始めることにしました。駐車場そばは
車一台が通れるような道なので、
ときどき、自転車が通り、車が入ってきたり、
歩いて通る人もいますが、静かな時間です。
日差しがありましたが、幸いなことに風も通る。

さてっと、車にあった一冊の文庫はというと、
白洲正子・河合隼雄「縁は異なもの」(光文社知恵の森文庫)。

もちろんパラパラ摘み読みです。
最初の方に、こんな箇所がありました。

白洲】もうおしまいです。六十歳ぐらいが分岐点ですね。
型ばっかりでもうろくする人と、型を打ち破って、
急にすばらしいほうにいく人と。

河合】そういうものですか。西洋の音楽の場合でも、
日本人は型から入っていく。そして二十歳ぐらいで
コンクールに出ても、ぜんぜんおもしろくない。
型のままでやっているからね。

(p64・「能の物語・弱法師」)


うん。駐車場には日がそそぐ、
パラパラと最後の方をめくると、
こんな箇所。

白洲】お能はまず、型を真似して、
型を勉強しなければならないでしょう。
じゃあその型をものにして、そこから先、
自分というものが出てくるかというと、
それが七十歳を過ぎてから。
それも、もしかするとという程度で、
全然出ないまま終わる人のほうが多い。

河合】それはもう、ほとんど運の問題ですね。
もし出てきたら、ほんとうにありがたいことです。

(p201)
この箇所は、1997年3月号の雑誌に掲載と初出一覧にあります。
最後の対談は、

河合】こんどこの『独楽抄』ですか、お出しになりまして、
拝見したのですが・・・

こうはじまります。
「ユリイカ」1999年2月臨時増刊「総特集白洲正子」の
略年譜をひらくと1998(平成10)年88歳
「・・・『花日記』『独楽抄』刊行。12月26日死去」
とあります。

はい。「独楽(どくらく)抄」(世界文化社)を帰ってから
古本で注文することにしました。
それが今日とどく。
コメント
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