山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

月光照らす薬師岳 鳳凰山平成29年9月2日

2017年09月04日 | 山梨百名山
 薬師岳小屋が新築され8月26日(土)にオープンとなった。その日の夜は未明にオリオン座と冬の大三角形が東の空から昇り、それに細い月と金星が接近しているというこの上ない好条件の空だった。狙っていたのだが新装オープンの薬師岳小屋は既に予約がいっぱいで泊まれなかった。それと天候もあまり芳しく無く、取り止めとなった。1週間遅れて9月2日(土)は月齢11の明るい月が夕方から深夜にかけて昇って来る。そしてその月は深夜12時ごろ鳳凰山観音岳から見ると北岳山頂に沈んで行くはずだ。しかし、深夜まで粘っていると寝る時間が無くなってしまうのでこの北岳に沈む月はあきらめて未明に昇って来るオリオン座と冬の大三角形と金星を狙うことにする。1日の金曜日に薬師岳小屋に電話すると混雑しているが泊まれるとのことで予約を入れる。こうなると、スランプなどとは言っていられずに無理矢理登るしか無くなる。朝8時半に夜叉神峠から登り始め、薬師岳小屋到着は午後4時の予定である。


    マルバタケブキが満開。


    キバナアキギリは散り始めている。


    昨年はここにお花畑を形成していたシコクママコナはすっかり数を減らしてしまっている。食害だろうか?


    山肌がさらに乾燥化してしまっているように見える夜叉神峠登山道。大丈夫か?


    夜叉神峠。空はどんより曇り空。

 天気予報では朝方雨のはずだったが予想していたよりも早く雨が上がった。夜叉神峠ではまだ空には厚い雲がかかっていて白根三山は見えないが午後からは晴れてくるはずだ。台風が東の海上を北東に進んでおり風を心配していたがそれも心配無さそうだ。曇っているおかげであまり暑さも感じず、汗が少なく快適に歩ける。


    笹の斜面にマルバタケブキ。


    杖立峠火事の跡地に咲いていたシナノオトギリ。


    食害を避けてケルンの中に咲いていたヤハズヒゴタイ(だと思う)。


    南御室小屋のヤナギラン。

 快適な登山のはずだったが、杖立峠を越えて苺平への登りでへばってしまう。星撮りのために久しぶりに担いで登る1.75㎏の三脚が思ったより重い。以前は普通に担いで登っていたのにずいぶん体力が落ちたものだ。南御室小屋到着が3時になってしまい、途中で薬師岳小屋に到着が5時前になりそうだと連絡を入れる。この山も鹿の食害に悩まされているだろうが、南御室小屋で管理しているお花畑には一面にヤナギランが咲き誇っていた。近くにテント場があることも幸いしているようで夜間の鹿の食害からも免れているようだ。


    時刻は午後4時近い。太陽が西に傾いている。


    砂払山。あれを越えれば薬師岳小屋だ。


    タカネビランジがまだ少し咲き残っていた。


    薬師岳を見上げる。右下に見えてきたのが新装された薬師岳小屋。


    到着。新装開店して1週間の薬師岳小屋。

 4時45分に薬師岳小屋に到着した。小屋の中に入るとまだ新しい木の臭いが漂っている。さっそく受付して寝床を案内してもらったが思ったほど混雑しておらず、一つの布団に一人で寝ることが出来た。5時半に夕食となる。ここの定番はおでんらしい。よく似込んであるおいしいおでんをいただき、同席となった4人で山と写真の話ですっかり盛り上がってしまい、最後に席を立ったのが私の座った座席の4人だった。持参していた鳳凰山で撮影した星空の写真4点をここで披露させていただくこととなり、自身の自慢話までさせていただいてしまった。その写真はさっそく小屋の玄関のところに展示させていただいた。

 時刻は午後6時半になった。もう夕陽は沈んでいるがそろそろ月光が薬師岳の岩峰群を照らしている頃だろう。空も晴れてきたし、たぶん富士山も姿を現しているのではないだろうか? 消灯時間は8時なのでその前に1時間ほど月光照らす薬師岳を散策してくることにする。


    夕暮れの北岳(左)と仙丈ケ岳(右)。雲の上に山々が浮かんだ素晴らしい夕暮れ。


    月が昇り雲海の上に富士山が姿を現した。砂払山がくっきりと写っているのは夕焼けの空が照らす明かりによるもの。


    夕暮れの白根三山。北岳の上には木星が輝く。


    月光照らす薬師岳岩峰と雲海の富士山。


    まさに狙っていた通りの景色になってくれた。


    薬師岳と富士山。


    甲府盆地の町灯りと八ヶ岳


    月光照らす観音岳と北斗七星


    雲に浮かぶ白根三山。しかし、この時間は飛行機がいっぱい。


    しかし心配なのは北岳バットレス真ん中に輝くライト。おそらくビバークだろう。八本歯のコルにもライトが輝いている。


    月光照らす素晴らしき夕景。さそり座が横に寝そべってうっすらと天の川が写っているが、月光のフレアと重なってしまっている。

 このまま一晩中撮影していても撮り切れないくらいの素晴らしき夜空が広がった。小屋に戻るのは惜しい気もしたのだが、消灯時間を過ぎてからガタガタやっていると他の宿泊者に迷惑がかかってしまう。7時50分に小屋に戻ってさっさと後片付けして寝る。明日の朝が楽しみである。目覚まし時計は2時半にセットする。
コメント (10)
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