山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

山梨県県南部のスルガジョウロウホトトギス  平成29年9月24日

2017年09月25日 | 花・花・花
 平成27年の秋に自生地を発見して以来、今年で3年目、5度目の自生地訪問となる。今年は山岳レインジャー調査を兼ねて、花仲間も同行しての訪問となる。この場所はヤマヒルと自然の地形に守られた深い渓谷の要塞である。ヒル対策をしっかりと行いつつ、険しい谷を登らないと現地にたどり着けない。


    沢沿いに咲くホトトギス。色が濃くて鮮やか。


    シラヒゲソウ。少し時期を過ぎた感じ。


    シラヒゲソウとホトトギス。沢の流れをバックに良い場所に咲いていた。

 次々に登山靴に付着してくるヤマヒル10数匹を消毒用エタノールスプレーで撃退しつつ、スルガジョウロウホトトギスが生育する谷に入り込む。谷は支流がいくつも分かれているので、GPSで場所を確認しつつ渓谷深く進むと、ようやく自生地の岩壁に到着した。昨年と数はあまり変わっていないように見えるが、場所によって岩が消失して無くなっているところもある。今年は花付きがいまひとつで株も小ぶりのものが多い。外れ年と言えるだろうが、それでも人の入らない深い谷の中にひっそりと咲いているこのジョウロウホトトギスは情緒たっぷりである。


    居ました。スルガジョウロウホトトギス。


    全体的に小ぶりのものが多く花付きもいまひとつ。


    それでも、渓谷の奥深くにひっそりと咲いているこの花は貴婦人上臈の名にふさわしく気品が漂う。

 沢の奥深い崖のような急登を登ってさらにもう1ヶ所訪れてみる。


    岩壁の遥か高い場所に咲いている株。


    渓谷の岩壁からぶら下がるこの雰囲気がたまらなく良い。


    下から見上げる


    花弁の内側には斑点が付いている。

 こんなに急な斜面を登っただろうかと思うような急登だが、現地に到着してこの花を見るとその苦労を忘れてしまうのだろう。昨年も同じ斜面を登ったはずなのにこんなに苦労しただろうかと思ってしまう。谷間にひっそりと咲く山梨県のスルガジョウロウホトトギス、別名カイジョウロウホトトギスを存分に堪能して下山となった。
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エゾリンドウはいずこに? 木賊平  平成29年9月23日

2017年09月25日 | 番外編
 甲府市と北杜市の境界付近、秩父多摩甲斐国立公園内に木賊平という場所がある。その場所はかつてエゾリンドウが咲いていたらしく、山梨県の自然記念物に指定されている。ところが、もう何年も前からエゾリンドウが全く見当たらなくなってしまっているらしい。自然記念物に指定されてはいるものの、アクセスしにくいマイナーな場所なので訪れる人も少なく、私自身、つい最近そのような場所があることを知った。ずいぶん前に一度その界隈の林道を走ったことがあるのを思い出したが、何も印象に残っておらずおそらく目ぼしいものは何も無かっただろう。現在の状況がどうなっているのか、改めて訪れてみることにした。


    木賊平のカラマツ植林地。鹿の食害著しく木には保護シートが巻かれている。下草の様子を見ても目ぼしいものは無く、ほとんど末期的な感じがする。


    枯れた沢沿い。シダと単調な下草。


    ツルネコノメソウか?目ぼしいものは出会えず。


    おそらくこんな感じのところにあったのだと思うが・・・


    林の横には小さな川が流れている。


    ナギナタコウジュ


    何も咲きそうも無い・・・


    笹薮


    伐採地から見下ろす木賊平。中央に生えている木の裏側の平坦地が木賊平の核心部。

 木賊平核心部には周辺から流れ込んだ小川が合流して形成されている湿原のような場所があった。しかしその場所もシダと笹に覆われた荒れた場所になってしまっていた。かつては豊かな湿原のお花畑が広がっていたであろうことは想像できるが、今ではおそらく鹿の食害で植物が消滅し、笹とシダがはびこる荒れた場所になってしまっているようだ。エゾリンドウは一株も発見できなかった。

 木賊峠に移動し、その上にある展望台に登ってみた。


    途中までは整備された道があったがあまり訪れる人が居ないらしく、上部は草茫々、道もわからなくなってしまっている。


    頂上の展望地にはベンチが2基設置してあるが、いずれも草に埋もれてしまっている。


    雲が巻いて視界が悪い。向こうには富士山が見えるはず。


    袴腰という看板が地面に落ちていた。拾って木にひっかける。

 林道のアクセスが悪く訪れる人がほとんど居ないのであろう。展望台は現在荒れ果てており、目ぼしい花も見つからなかった。しかし、周辺にあまり視界を遮るものが無く、天候が良ければ360度のパノラマを見ることが出来るであろう。

 この界隈は人が入らない代わりに鹿の食害著しく、植生がすっかり変わってしまった場所のひとつだろう。エゾリンドウはおそらく壊滅していると思われる。
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