山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

引き続きヒゴタイ探し 山梨県東部の山へ  平成29年9月20日

2017年09月21日 | 花・花・花
 おそらく今年も決着が着かないであろうヒゴタイの花だが、山系を変えて大菩薩・小金沢連峰のほうに行ったら少しは違うものが見られるのではないだろうか?他の花の観察を兼ねて山梨県東部の山を訪れてみることにする。


    この山も鹿の食害が著しい。荒れた草地の中にポツポツとマルバタケブキが咲く。


    山頂付近の草地は燦燦たるものである。かろうじて残っていたノコギリソウ。かつてのお花畑は消滅し、虚しさと無力さを感じずにはいられない。


    マルバタケブキの群落。

 ヒゴタイの仲間を探したが、葉の数も花の数もきわめて少なく、花が付いたものは2株しか発見できなかった。こちらにあったのは三ツ峠で見たものとは別のヒゴタイだった。


    ようやく見つけたヒゴタイはまだ蕾のうえに半分鹿に食べられている。葉のくびれは目立たない。


    総苞を見てみると蜘蛛毛が生えており、さらに総苞片は開出せず飛び出していない。これはヤハズヒゴタイ。


    もう1株はだいぶ痛んでしまっている。


    総苞は蜘蛛毛があって総苞片は開出せず。ついでに総苞片の列数を数えてみると5~6列で三ツ峠で見たものよりも少ない。

 どうやらこの山のヒゴタイはヤハズヒゴタイらしい。昨年も一株だけ見つけたヒゴタイはヤハズヒゴタイのように見えた。山域によっても種類が変わるようで、さらなる調査が必要であろうが、何年もかかる作業になるだろう。

 さて、もう1種類この山には山梨県では自生地がきわめて少ない花がある。


    岩に生えたダイモンジソウ


    苔に生えたダイモンジソウ


    谷に咲いたサラシナショウマ


    これがお目当ての花。クサノ・オウバ・ノギク。


    台風の影響か、後ろ側の株はひっくり返ってしまっている。そっと戻しておいた。


    ノギクとダイモンジソウ


    この岩には昨年たくさん付着していたのに、苔ごと消失している。


    わずかに残っていた花。


    下を見ると滑り落ちた株が地面で咲いていた。この花は苔の生えた岩の上を好んで咲くので、おそらくこの状態ではあまり長生き出来ないだろう。


    こんな花もあった。


    昨年も見ていると思うのだが・・・?


    ベンケイソウの仲間、どうやらこれはミツバベンケイソウ(と花仲間から教えて頂きました)。

 小さなノギクの花は山梨県ではごく限られた場所にしか咲かない貴重なものであるが、昨年に比べると若干減っているように見えなくもない。岩の上の苔が生えた場所を好む着生植物のような習性を持っており、苔が剥げると花も同時に剥げ落ちてしまう。台風や大雨などで環境が損なわれるといつ消滅してもおかしくない花である。山岳レインジャーの対象山域に指定しても良いのではないかと考えている。
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三ツ峠の夕暮れ  平成29年9月18日

2017年09月21日 | 山梨百名山
 本社ヶ丸で折り返して清八峠に戻ってきたのは午後3時になってしまった。予定ではここを2時に通過するはずだったが、風で揺れるヒゴタイの仲間の撮影が思うように行かずだいぶ時間を費やしてしまった。三ツ峠の山頂まではここから約2時間、しかし引き続き正体が確定できないヒゴタイの探索をしながら登るとおそらく3時間くらいかかるだろう。しかし折角の良い天気、富士山も見えているし、朝は甘利山林道閉鎖で撮影に失敗している。ここのところ滅多に訪れないこの日の澄んだ富士山を撮らずには帰れない。日没過ぎの夜景を狙って清八峠側から三ツ峠を目指す。


    三ツ峠側はヒゴタイがたくさんあった。葉に少し切れ込みあり。


    わずかに蜘蛛毛あり。


    数本並んでいた株はわずかに切れ込みあり。


    明らかに蜘蛛毛がある。


    葉にほとんど切れ込みが無いコウシュウヒゴタイ型。


    これにも蜘蛛毛あり。

 たくさんのヒゴタイを観察して回ったが、この界隈のヒゴタイは葉の切れ込みの有無にかかわらずほとんどの株で総苞に毛が生えていた。葉の切れ込みはどちらかというと少ないものが多く、おそらくはこれらは皆コウシュウヒゴタイなのではないだろうか?日没ギリギリの5時半にやっと電波塔の立つ御巣鷹山に到着した。


    御巣鷹山から見る夕暮れの富士山


    残照の夏富士
    

    三ツ峠山山頂に移動。既に日は沈んで西の空には夕焼けが広がっていた。


    夕焼けの南アルプスの空と甲府盆地。右端の山は八ヶ岳。


    町灯りが灯る夕富士

 さて、問題はここからだ。この日はヒゴタイ観察が目的だったので星撮影用の明るいレンズは持って来ておらずカメラもミラーレスのEosM2だけだ。これでどこまで星が撮れるのか?その前にこの明るい富士吉田の町灯りの上にどれだけの星が輝いてくれるのか?条件が良ければ富士山の上に立ち昇る天の川が見えるはずだ。


    星が輝き始めた。しかし飛行機の明かりも目立って来た。


    夕暮れの南アルプスと甲府盆地。テントの明かりが一張り。空に輝くのは木星。


    富士山の上にはさそり座が尻尾を巻いている。うっすらと天の川が見え始めた。


    うっすらと立ち昇る天の川。しかし予想通り町灯りに負けてしまう上に薄い霞が広がってしまう。


    薄霧で結露するレンズを拭き取りながら撮影した富士山に立ち昇る天の川。町灯りに負けてしまいこれが限界。雲海で町灯りを覆ってくれないと撮影は難しい。


    7時半を過ぎると雲が広がり始めてしまう。ここまでで撤退。

 三ツ峠山頂で夕暮れを迎えるならば8時まで粘って富士山頂に立ち昇る天の川を撮ろうと最初から決めていた。この日は空気が澄んで条件は比較的良いほうだったと思うのだが、予想していた通りに富士吉田の明かりが明る過ぎて天の川の輝きは消えてしまった。雲海で町灯りが隠されてさらに空の空気が澄んでいるという、そんな好条件が揃った日でないと、この山からの天の川は難しそうだ。

 
コメント (2)
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