山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

金星と冬の大三角形昇る甲府盆地 鳳凰山(2日目)  平成29年9月3日

2017年09月05日 | 山梨百名山
 新築して先週オープンしたばかりの薬師岳小屋に宿泊し、前日の夕方薬師岳に登ってみると雲海の上に富士山が浮かんでいた。そのまま甲府盆地が雲におおわれていてくれれば、翌朝は雲海で町灯りが減弱して甲府盆地の上に昇って来る星が輝いて見えるはずだ。シュミレーションでは未明3時半ごろに夏の大三角形と金星が昇って来るはずだ。目覚まし時計は未明2時半にセットして8時半に眠りについた。

 目が覚めたのは未明1時半だった。2度寝入りすると起きるのが大変になるのでそのまま起きて準備して2時に小屋を出発する。薬師岳に登ってみると、もうオリオン座が薬師岳の岩峰の上に昇って来ていた。富士山も雲の上に頭を出していて、これまた絶好の写真撮影日和となった。


    薬師岳の岩峰に昇るオリオン座。富士山は見事に雲の上に姿を現してくれた。


    同上。今回はこの構図でオリオン座を撮りたかった。雲海が町灯りを減弱させてくれたのでこれだけ星が輝いてくれた。


    薬師岳とオリオン座


    白根三山側はこの季節はあまり目立った星は見当たらず、地味な空になってしまう。

 もし雲海が出ていなければ薬師岳で冬の大三角形が昇って来るのを待って、薬師岳の岩峰で町灯りをカットしようと思っていた。しかし、この日は雲海があって町灯りがある程度カットすることが出来る。ならば、観音岳まで行って甲府盆地に昇って来る冬の大三角形と金星を入れた構図で狙うことにしよう。薬師岳の双耳峰の上に見える富士山の構図も魅力的である。夜の稜線を星空を眺めながら観音岳に進む。


    観音岳と仙丈ケ岳に立ち昇る夏の天の川と夏の大三角形 


    観音岳山頂直下から見る夜景。甲府盆地の左手から金星が昇って来た。薄い雲海だったが、冬の大三角形も十分に見える。


    金星と冬の大三角形昇る甲府盆地。観音岳山頂から見る景色。水平線が明るみ出し、もう薄明の青い空が始まっている。

 今回一番見たかったのがこの甲府盆地に昇って来るオリオン座と冬の大三角形、そして金星である。甲府盆地の町灯りはとても明るいので、雲海で蓋がされないと空の下のほうは町灯りに負けてしまって星が写らなくなってしまう。今回はやや雲海が薄かったが、それでもこれくらい星が輝いてくれた。そして画像をその気で良く見ていただくと、金星を貫いて右上がりの薄い帯、冬の大三角形を貫いて左上がりの薄い帯が立ち上がり、三角形を形成しているのがなんとなく見えると思う。これは黄道光と冬の天の川が織り成すトライアングルで、この季節の名物である。まさかこの場所で見られるとは思ってもいなかったので撮影したカメラモニターを見ながら感歎していた。


    甲斐駒ケ岳に立ち昇る天の川


    薬師岳に立つ富士山と町灯り


    富士山の上で遊ぶおおいぬ座


    薄明の八ヶ岳と町灯り


    薄明の白根三山。まだ4時20分だというのに北岳バットレスに取り付いて救助に向かうライトが見える。ヘリは飛ばなかったので無事救助されたのだろう。


    夜明けの空に輝く金星と冬の大三角形


    夜明けの空の残り星 金星とシリウス

 薄明の青い空は夜明けの青空に変わり、楽しませてくれた星の明かりは消えて行く。そして日の出を迎える。


    雲海に浮かぶ夜明けの富士山


    日の出


    朝日浴びる甲斐駒ケ岳と地蔵岳。あまり焼けなかった。


    北岳と間ノ岳の夜明け


    夜明けの富士山


    甲斐駒ケ岳と仙丈ケ岳

 夜明けのゴールデンタイムが終わったところで軽く朝食をとる。天候の良さそうな日を狙って登る鳳凰山は来るたびに素晴らしい景色を見せてくれるがこの日もまた格別に素晴らしい景色を見せてくれた。おそらくは、この夏のシーズン中、星を見るには最高の条件ではなかっただろうか。言葉に言い表せないくらい感動的な景色を楽しませていただき、山の神様に感謝した。


    タカネビランジと甲斐駒ケ岳。光の角度が悪く、どうしてもカメラと三脚の影に入ってしまう。


    ホウオウシャジンと白根三山。こんな好位置に咲いてくれるとは。


    タカネビランジが咲いていればこんな構図だろうか。満開の時に訪れたことが無い。


    少しだけ彩雲

 薬師岳小屋に立ち寄りお礼を言って下山する。白根三山が雪化粧する頃に、来られるならばまた来てみたいと思った。しかしその頃には鳳凰山も雪が積もっているだろう。根性と体力がどうか・・・??


    雲が次第に増えてきた。


    夜叉神峠に到着した頃はすっかり曇り空。

 足に疲れを貯めないように故意にゆっくりと歩いたつもりだったがそれでもかなり膝に堪えた。ヘロヘロまでは行かないまでも明日の筋肉痛と膝関節痛は確定だろう。眠気も混じって疲れはしたが、この季節にこれほどまでの素晴らしい条件で星空が見られるとは全く思っていなかっただけに、大満足な山行となった。午後2時半、下山。
コメント (8)
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