山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

コウシュウかタカオか? 雨の中のヒゴタイ観察  平成29年9月17日

2017年09月19日 | 花・花・花
 台風18号接近のため9月3連休で予定していた北岳は中止となってしまった。そろそろ台風が九州に上陸した頃の17日朝、外に出てみると意外に小雨が降る程度で風もさほど強くない。天気予報の雲画像を見ても山梨県界隈はさほど活発な雨雲はかかっていない。これならば・・・傘を差して近場の植物観察くらいなら出来そうだ。まだ未解決のコウシュウヒゴタイとタカオヒゴタイの区別を見極めるため、既に下見が済んでいるさほど歩かなくても行ける峠に行ってみることにした。

 コウシュウとタカオの違いのひとつは葉っぱの切れ込みだろう。タカオはバイオリン型に深く葉が切れ込むがコウシュウはあまり切れ込まないらしい。しかし、昨年見かけたコウシュウヒゴタイと思われる花はバイオリン型とは言わないまでも葉に切れ込みがあるものがあった。さらにもうひとつの違いはコウシュウは総苞に毛が生えていないのに対してタカオは蜜に蜘蛛毛が生えているらしい。今回注意して観察するのはこの葉の切れ込みと総苞の蜘蛛毛の有無である。傘は車に積んであるが、撮影に適した半透明の傘の持ち合わせが無いため、コンビニで良さげな傘を購入していざ出陣である。雨の日の花の撮影はレンズが濡れたり結露したりしてうまく撮れないので避けていたのだが、あまり日程が取れそうもないので強行である。


    たぶんイヌヤマハッカ。毎年図鑑とにらめっこしているが、数日で区別の仕方を忘れてしまうヤマハッカの仲間。


    峠に登る入り口でさっそく発見したヒゴタイ。さて、これはどっち? 周辺の草とともに食害に遭っているのが心配だ。


    蜜とは言えないが蜘蛛毛が生えている。タカオになるのか? しかし葉の切れ込みは浅いように見える。


    オクモミジハグマ。ほとんどがもう終わっていた。


    サラシナショウマ。食害に遭いつつも生き残って咲いていた。


    サラシナショウマ


    レイジンソウがちらほら。

 さて、肝心のヒゴタイは? ちょうど見ごろを迎えていてかなりの数を観察することが出来た。果たしてその正体は???


    数本固まって咲いていた株。葉は切れ込んでおらず、コウシュウヒゴタイのように見える。


    花の部分を接写。蜘蛛毛は生えておらずコウシュウヒゴタイと見て良いであろう。


    別株。こちらは下のほうの葉は切れ込んでいる。


    うっすらと蜘蛛毛が生えているように見えなくもないがほとんど無し。これもコウシュウとみて良いだろう。


    こちらも葉の切れ込みがほとんど無い。


    蜘蛛毛は無いように見える。


    葉が痛んでしまっているが、これはかなり細く切れ込んでいるように見える。


    こちらは明らかに蜘蛛毛が生えているが蜜と言うほどでは無いように見える。

 いずれも近い場所で同じような環境で咲いている。これは本当に別物なのかどうか? 同じものを見ているようにしか思えず、どうにもしっくり来ない。もう1ヶ所観察に行ってみよう。


    春に見たユモトマムシグサは赤い実が成っていた。周辺には10株ほど葉が生えていた。


    徹底的に食害を受けている感じがする。下草がほとんど無く山肌が殺伐としている。


    トリカブトの葉が食べ尽くされている。なんとかしないと花が全て無くなってしまいそうな燦燦たる状況である。


    春にたくさん葉が出ているのを確認したがほとんど見当たらなくなっており、ようやく発見した株。いよいよレンズが結露し始めた。


    中腹よりも上で見つけた大きめの株。葉の切れ込みが深くタカオヒゴタイのタイプ。


    しかし総苞に蜘蛛毛は生えておらず、コウシュウヒゴタイになるのではないだろうか?

 その他に数株発見したこの界隈に咲いていたヒゴタイはいずれも総苞に蜘蛛毛は生えていなかった。しかし、葉の切れ込みはやや深いものが多かった。

 この場所で見る限りでは、葉の切れ込みがやや深いものが多いものの、総苞に蜘蛛毛が生えているものは少なく、あるいはあっても薄く、ほとんどがコウシュウヒゴタイとみて良いのではないだろうか? しかしそれにしてもしっくり来ない。この程度の観察ではとてもではないが結論は出せない。もう少し別の場所を観察してみる必要がある。典型的なコウシュウヒゴタイとタカオヒゴタイを見ないと結論は出せないのではないだろうか???
コメント
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