山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

昇仙峡の渓谷に生育するシダたち 令和2年6月7日

2020年06月12日 | シダの仲間
 4月下旬に訪問した時はまだ芽吹いたばかりで葉を十分に展開していなかったシダの仲間たちはこの季節になるともうすっかり成長して新緑の若葉を展開している。中にはもうしっかりとソーラスを成長させて今にも胞子を放出させそうになっているものもあれば、ヤシャゼンマイなどはもう胞子を放出した後で胞子葉は枯れ始めている。2ヶ月違うとだいぶ違う姿を見せてくれる。たかがシダ、されどシダ、花は無いが季節によって違う姿を見せてくれる。


    4月に訪問時はやっと葉を展開したばかりだったオクマワラビはもう立派に成長している。左はヤブソテツ。


    ソーラスが成熟していて今にも胞子を放出しそうである。


    すっかり大きくなったオクマワラビ。


    このシダは先端部のソーラスを付ける葉が急に小さくなる特徴がある。


    こちらももう立派なソーラスを付けている。


    シノブ。これはまだソーラスは付いていなかった。


    根茎と鱗片。


    渓谷を見下ろすように生えていたシノブ。


    背が高くて立ち上がって生えているこのトラノオシダは別物のように見える。


    包膜が破れてもう胞子が放出されているようである。


    左上はオオイタチシダ、右下はトウゴクシダのようである。


    第一羽片の下向き最下小羽片が大き目で切れ込みが深い。トウゴクシダで間違い無さそうだ。


    まだ若いソーラスが付着しており、ベニシダに似ている。


    鱗片はやや広め。


    昨年秋から何度か観察に来ているトウゴクシダはすっかり新しい葉に置き換わっていた。新緑鮮やかである。


    似ているがこちらはリョウトウイタチシダ。第一羽片の下向き最下小羽片が大きく張り出しており、イタチシダの仲間である。


    やや幅の広い黒い鱗片が特徴である。


    ソーラスはまだ痕跡程度、葉軸にも黒い鱗片が付いている。


    春にも撮影したヤシャゼンマイはすっかり成長している。


    青々とした葉を展開しているヤシャゼンマイ


    胞子葉はもう黒っぽくなって枯れている。


    4月には芽吹いたばかりで一部だけ葉を展開していたこのシダ。


    しっかりとソーラスを付けている。正体は予想通りキヨタキシダだった。


    その近くに、同じものだと思っていたが別のシダが生えていた。


    全体的な形はキヨタキシダに似ているが小羽片の形がこちらのほうが細い。


    小羽片の付け根部分には短い柄があって翼が無い。


    円形に近い茶色いソーラス。どうやらこれはイッポンワラビのようである。


    もう1種類、キヨタキシダに似た大き目のシダが生えていた。


    良く見れば、羽片先端部が流れるように細くなっている、かつ、キヨタキシダと違って羽片付け根の部分の柄が短い。


    ソーラスの形が全く違う。これはヤマイヌワラビであろう。


    鱗片の形も幅が広くてキヨタキシダとは違う。


    普通に見かけるが何だか良く分からないシダ。


    うっすらとソーラスが付いていた。拡大して見ると包膜に覆われていてまだ成熟していなかった。


    鱗片。おそらくこれはハリガネワラビの仲間、イワハリガネワラビだと思う。ソーラスが成熟して葉軸が緑色のままならば間違いないだろう。

 昇仙峡の渓谷沿いの遊歩道はシダの宝庫である。特にリョウトウイタチシダ、オオイタチシダ、トウゴクシダの3種類を見ることが出来て、さらには場所によってゼンマイ、ヤシャゼンマイ、オオバヤシャゼンマイの3種類が見られる場所はあまり無いだろう。花を見るのは咲いている時期に行くのが一番であるがシダの場合は季節によって姿が変わり、ここが良いということは一概には言えない。この場所も時期を変えて訪問するとまた別の姿を見ることが出来て、そのうち確定できるようになるだろう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

渓谷の岩壁に咲くセッコク  令和2年6月7日

2020年06月12日 | 渓谷
 前日の乾徳山登山で少しばかり足が張って膝が痛い。別の場所のクモイコザクラ観察を考えてはいたが元気に登れる気がしなかったので渓谷道の散策に出かける。昨年見たセッコクがそろそろ咲いているだろうし、新緑のシダもそろそろ大きくなっている頃だろう。駐車場に到着すると、10数台止まっていた車はほとんどが県外ナンバーだった。それでも、新緑の渓谷散策には良い時期なのに客足は激減である。山梨の観光産業も他所にもれず大打撃を受けていることだろう。


    新緑の覚円峰


    渓谷沿いに茂るヤシャゼンマイ


    青々と茂っているヤシャゼンマイ。胞子穂はもう枯れている。


    見上げる渓谷の岩壁


    こんな急峻な岩壁の隙間にセッコクが咲いている。


    570㎜望遠


    1,140㎜望遠。風で揺れるのと気温が上がって空気のよどみが出て鮮明には撮れない。

 1カ所目のセッコクは距離が遠いうえに風と空気のよどみでうまく撮れない。他の花やシダを見ながら別の場所を探してみる。


    岩の上に生えていたキリンソウ


    ヤマキケマン。昨年見つけた場所には今年は生えておらず、別の場所で発見。


    薄黄色の花と曲がりくねった剣のような鞘


    シノブとその向こうに・・・


    セッコク


    もう終わりかけている。


    岩壁の溝に生えていたセッコク


    さらに望遠


    大株もある。


    大株が並んでいる。風が吹いていて花が揺れてしまっている。


    ウツギ咲く渓谷


    渓谷の流れを見下ろす。


    ここにもセッコクが生えていた。


    新緑の滝

 渓谷に咲くセッコクは昨年以上に多くの花を見ることが出来たが、光が入りにくい渓谷の岩壁に加えて風が強くて花が揺れてしまい、満足できる撮影にはならなかった。もう花の見ごろの時期は過ぎてしまっており、また来年撮影に挑戦してみたいと思う。たくさん見たシダは別に掲載する。


    行きにコーヒーをいただき帰りに山菜ソバをいただいた樹光庵。手打ちのソバもおいしいが、昇仙峡の美味しい水から作ったコーヒーがおいしい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする