山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

復活したカモメラン、しかし食害も・・・  御坂山系の山  令和2年6月25日

2020年06月27日 | 山に咲く花
 カモメラン保護のため保護柵を設置してある山がどうなっているのか気になっていたが、週末毎週のように入っている植物調査のため訪問出来ずにいた。一度は午後に年休をとって登山口に向かったが途中から雨に降られて撤退している。そしてこの日、午後に時間がとれたので再び年休をとって入山する。年20日とれる年休はもう既に半分以上使ってしまった。今後どうなるのか、不安がある。


    前回の保護柵点検時は霧に阻まれて発見できなかったヤシャビシャク。この木には3株着生していた。


    着生植物ヤシャビシャク


    別の木の株。結実して棘の生えた実が成り始めている。


    保護柵に到着。ポールが傷んで傾いているところがある。かつ、柵のつなぎ目が半開き状態になっていた。


    中を見て愕然とする。鹿の食害に遭っている。


    レンゲショウマなどのショウマ類、ユキザサなどが被害に遭っていた。


    カモメランの被害は少ないが踏み荒らされてしまっている。個体数は約40株。


    咲き残っていたカモメラン。


    2つ目の柵。周辺との植生の差が明らかになってきた。


    ここは被害に遭っていない。オクモミジハグマがだいぶ多くなってきた。共生してくれるのかどうか?もうしばらく様子を見ることにする。


    咲いた花数は約20株。


    個体数自体はさほど変わっていないが確実に花数は増えている。


    3つ目の柵。柵の損傷は無く鹿の食害も無し。柵の中は草が青々と茂り、周囲との植生の差が明らかになってきた。


    復活してきたカモメランが昨年以上に咲いてくれている。


    全盛期の頃までは行かないが、3年前の食害に遭う以前の状態くらいまで復活した。


    花数は約80株、個体数は約300株。やっと元に戻って来てくれた感じである。


    踏み跡が付いて減ってしまっていた場所も復活してきてくれたことは嬉しい。

 3ヶ所設置した保護柵のうち1ヶ所は残念ながら柵が破損して食害に遭ってしまった。来年はもう少し高めの柵でしっかりと設置し直す必要がありそうである。他の2ヶ所は順調にカモメランが再生している。他の植物も増殖して生存競争が起こってしまっているかも知れず、今後の経過によっては他の植物を一部取り除かなければいけないのかも知れない。経過を見つつ、花に詳しい方々とも相談しつつ、今後のことを検討したいと思う。

 さて、今回の一番の目的はこのカモメランであるが、もうひとつ見ておきたかったのはこの山域に生育しているユモトマムシグサである。先日見てきた櫛形山のものとどう違うのか、見ておく必要がある。さらにもうひとつ、前回訪問時に見つけたイッポンワラビと思わしきシダ、そろそろソーラスがはっきりと付いている頃だろう。


    黒岳山頂付近で見かけたユモトマムシグサ。茎が長くて背が高い。


    この個体は仏炎苞の高さが葉と同じくらいで櫛形山のものと似ているが、背の高さが全く違う。これがヤマナシテンナンショウとの違いと思われる。


    オシダ(右)とミヤマクマワラビ(左)。並べてみると大きさと葉軸の色が全く違う。


    真ん中から茎の長い葉が出ている。


    その葉が胞子葉。細長いソーラスの痕跡が出ており、これはミヤマシケシダと思われる。


    やや大きめのシダが群生。これが確認したかったイッポンワラビと思わしきシダ。


    茶色いソーラスが小羽片中軸寄りに付着。イッポンワラビで間違い無さそうである。櫛形山で見たハコネシケチシダと思わしきものとは別物。


    もう1種類、確認しておきたかったイノデの仲間。葉のツヤが少ない。


    幅広い鱗片


    葉軸中央から上の部分に付着する鱗片。ソーラスは葉の上のほうに付着する。


    鱗片の拡大。幅広のものもあるのだが大部分は次第に先細りしている。これはイワシロイノデと思われる。

 自信は無いが、おそらくこのイノデは櫛形山で見たものと同じくイワシロイノデなのではないかと思われる。確認に行ってみないと分からないが、高座山近傍の林の中で見かけたものはツヤナシイノデではないかと思っている。では焼山沢で見たものは?八ヶ岳で見たものは?次々と疑問が湧いてくる。やっと見るべきポイントが分かってきたイノデの仲間は一度見ただけではまだ見分けられるだけの実力を持ち合わせていない。何度も見に行っていつか分かるようになってくるのではないかと思っている。


    キンポウゲだが何かちょっと違う気がする。茎や葉に毛が多い、良く見れば根元近くに出ている葉の先端が丸っこい。たぶんグンナイキンポウゲだろう。
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櫛形山で出会ったシダたち  令和2年6月21日

2020年06月27日 | シダの仲間
 植物保護のメンバーたちと一緒だったのでいつものようにシダの鱗片やソーラスまでじっくり撮影している余裕は無かったが、それでもメンバーの足を大きく引っ張りつつ、かなり遅れて歩きながら撮影してきた画像である。中には、何だか分からないシダもあって帰って来てから初見のシダであることが分かったものもある。


    圧倒的に多いのがこのシラネワラビ。あちらこちらで群落を形成しており、一部シカの食害に遭っている。


    柵の中にたくさん茂っているのはおそらくヒメシダ。そのうち葉裏に黒いソーラスが付着して来ると思う。


    元気に胞子葉を出しているヤマドリゼンマイ


    管理歩道脇の岩壁に生えていたフクロシダ。下に生えているのはイワデンダ。


    ミヤマウラボシ


    シラネワラビと並んでこの山では圧倒的に多いオシダ。


    根元の鱗片はイノデと似て密に生えている。


    この山で確認しておきたかったのがこのイノデ。葉の光沢は鈍い。


    幅の広い鱗片が密に付着している。


    注目すべきがこの中軸中央部から上部付近に付着している鱗片。


    トリーミング画像。次第に先細りして行く長三角形状の鱗片。おそらくこのイノデはイワシロイノデだろう。良く似たツヤナシイノデは先端部が急に細くなる。


    そしてこれが何だか分からなかったシダ。当初はイッポンワラビだろうと思っていたが大きさがかなり大きい。


    形はほぼイッポンワラビと同じに見える。


    鱗片は薄め。これだとイッポンワラビとの区別が出来ない。


    違うのはこのソーラス。楕円形、ないしは円形の大きさが不揃いなソーラスが付着している。


    おそらくこれはハコネシケチシダではないかと思う。

 シダの師匠からいただいた山梨県のシダリストにはハコネシケチシダの名前が出て来ない。おそらく山梨県では珍しいシダの中に入るのではないかと思う。師匠に鑑定を依頼しようと思っている。じっくり探せば、他にもいろいろ出てきそうな気がする櫛形山、機会があれば時間の許す限りゆっくりと探索してみたい。
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