山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

南部町の林道沿いに生育する絶滅危惧のシダを訪問  令和2年6月21日

2020年06月23日 | シダの仲間
 珍しいシダを観察して下山してきたが、あまり歩かない場所ならばもう1ヶ所訪問するくらいの時間はありそうである。今年の3月に初めて訪れた林道沿いに絶滅危惧のシダが4~5種類生育している。この季節ならば新緑のみずみずしい葉を出しているのではないだろうか。悪路の林道なのでRV車でないと通過するのが難しいところを、なんとか騙しながら林道の奥まで車で乗り付けてもらう。


    大きく成長していたヘラシダ。これは山梨県絶滅危惧種のシダ。


    小さな葉がたくさん出ている場所もあった。


    2つ目はこのミドリカナワラビ。これも絶滅危惧種。


    新緑の青々とした個体を期待したが3月訪問時とあまり変わっていなかった。


    3つ目はこのバカデカいシダ、オオバノハチジョウシダ。


    見つけたのは2株だけだが、存在感は十分である。


    葉の辺縁の巻き込んだところにソーラスが付いている。


    4つ目はオオカナワラビ。この個体は痛んでいた。


    新緑の青々としたオオカナワラビに出会えた。前回来た時は痛んでいてオニカナワラビだろうと思っていたがオオカナのほうだった。


    そしてこれがオニカナワラビ。頂羽片がなだらかに細くなって行く。新鮮な個体は見つからず。これは絶滅危惧種では無い。


    ソーラスは小羽片の中間あたりに付着するが、これだけ大きくなるとどうなのかは良く分からない。


    最後にクリハラン。これは絶滅危惧種。


    これだけたくさん茂っていると圧巻である。

 短時間で5種類の絶滅危惧のシダを巡って来た。この周辺の林道は南方系の珍しいシダの宝庫である。一方、足にまとわりついてくるヤマヒルの宝庫でもあるので対策無しでは歩けない。

 さらにもう1種類、見たことが無いシダに遭遇した。形はイタチシダだが、オオイタチシダとは違うし鈍い光沢はリョウトウイタチシダかヒメイタチシダかとも思ったが鱗片が違う。これはいったい??


    林道脇に生えていたシダ。下向き第一小羽片が大きくイタチシダの仲間だろうというのは分かる。


    薄めの茶色い鱗片はやや幅が広く、リョウトウイタチやオオイタチとは別物である。


    硬い包膜を持ったこのソーラスは初めて見る。帰ってから図鑑をいくつか調べてようやく正体が判明した。


    これはナガバノイタチシダという南方系のイタチシダの仲間だった。山梨県では数が少ないようである。

 富士山麓で見たミヤマイタチシダに続いて今度はナガバノイタチシダに出会うことが出来た。分けが分からなかったイタチシダの仲間もまた一歩前進である。同じ場所でも季節を変えるとまた新しい発見があるところが植物探索の面白いところだと思う。本格的にシダを見るようになって約1年になるが山梨県に生育している約250種類のシダのうちこれで160種類を見たことになる。山梨県絶滅危惧ⅠA・ⅠB・Ⅱ類のシダ59種類のうち46種類を見ており78%達成したことになる。3年間で80%見るという目標まであとわずかであるが、残っているのは難しいシダばかりとなった。今年のうちに達成できるのはほぼ確実である。
コメント
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