山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

ホソバノキソチドリPlatanthera tipuloides

2023年10月09日 | ラン科
 亜高山帯の草地に生える多年草。高さは20~40㎝になる。根元近くの葉は普通1個で狭長楕円形、長さ3~7センチで先端は尖らない。鱗片葉は2~3個つき、先端はやや尖る。穂状の花序に黄緑色の花を多数つける。側花弁は開かずに背萼片とともにずい柱を囲み、兜型を呈する。長い距は先端部が緩く下向きに曲がる。花期は7~8月。山梨県では良く似たヤマサギソウが多く見かけられるが、大菩薩・小金沢山系でホソバノキソチドリ生育しているのが発見された。隣県の長野県では普通に見られるであろうが、山梨県ではあまりお目にかかれない。

    ホソバノキソチドリ 2023年7月 大菩薩・小金沢山系で撮影

    長い距がある。

    別株。根元の葉は見えないが鱗片葉は小さくて先端部が少し尖る。

    穂状花序にやや黄色味を帯びた花を多数付ける。

    黄色い部分は側花弁で、開かずに後ろ側の背萼片とともに兜型を呈する。

    距は長く先端部が緩く下に曲がる。

 環境省の絶滅危惧種には入っていないが、9府県で絶滅危惧種に登録されている。山梨県ではまだ調査が不十分であるが、ヤマサギソウ(山梨県絶滅危惧Ⅱ類)よりも個体数は少ない印象を持っている。




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マイサギソウ(舞鷺草)

2023年10月09日 | ラン科
学名:Platanthera mandarinorum Reichb.f. subsp. mandarinorum var. neglecta 

 日当たりのよい明るく湿った草地を好んで生育する多年草である。草丈は20 - 50 cmになる。最下部の葉は広線形、茎葉は線状長楕円形。花は白緑色で8 - 15個つける。 背萼片は広卵形 - 円形で、側花弁と背萼片が同じ高さになる。唇弁は舌状で下垂する。距は上方に捻れて伸び、その姿が鷺に似ることからこの名がある。 花期は6 - 7月。山梨県では富士北麓の草原で発見されたがきわめて個体数が少なく、まだ十分な調査が行われていない。

    草むらに隠れるように生えていたマイサギソウ  2023年7月 富士北麓で撮影

    既に花が傷んでいた。周辺を探したがこの1株しか見当たらず、個体数はきわめて少ない。

    マイサギソウの花。距が上向きに曲がって伸びるのが特徴で、その姿はまさに鷺である。

 環境省の絶滅危惧種には入っていないが、18道県で絶滅危惧種に指定されている。山梨県ではきわめて発見が困難な種である。





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クゲヌマランCephalanthera longifolia (L.) Fritsch

2023年10月09日 | ラン科
 落葉広葉樹林下や林縁を好んで生育する多年草である高さ20~60cmになる。短い根茎をもち、数本の茎を束生させる。葉は互生し、長さ8~18cm、幅2~4cmの狭長楕円形で先がとがり、縁は全縁である。総状花序に白い花を5~20個らせん状につけ、長さ1cmほどで、ほぼ半開程度までしか開かない。唇弁には黄色の模様があり、唇弁基部の距は無いか非常に短い。ギンランに良く似るが葉はギンランよりも幅が広くやや硬く、辺縁が波打つことが多い。距が無いかきわめて短いことも異なるのだが、距の無いギンランもしばしば見かける。山梨県では北杜市の公園で発見されたが、他に河口湖近傍での目撃情報と写真がある。花期は4~5月。

    クゲヌマラン 2023年5月 北杜市で撮影

    個体数は少ない。

    まだ蕾のクゲヌマラン

    花弁が痛み始めているが、なかなか花が開いてくれない。距は見当たらない。

    ギンランに比べて葉の幅が広くやや硬く、辺縁が少し脈打つ。

 環境省の絶滅危惧Ⅱ類に指定されており、他に17県の絶滅危惧種になっている。山梨県でも生育が確認されたが、他の場所にも生育している可能性が高い。




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マツバランは元気にしているか? 南部町  令和5年10月7日

2023年10月09日 | 甲斐百山
 南部町の大きな桜の木にマツバランが着生している。その後どうなっているか、しばらくぶりに会いに行ってみる。

    大きなシダレザクラの木

    この木の幹にマツバランが着生している。一見して今までで一番元気そうである。

    青々としていて株も大きくなっているように見える。

    球形の胞子嚢をたくさん付けている。元気そうで一安心である。

    別の大きな桜の木を訪問してみる。

    シノブがたくさん着生している。

    良く見ると隠れるようにマツバランが着生している。胞子嚢はあまり付けていないようである。

    さらに良く観察してみると、溝のところにも数株着生していた。

    青々として元気なマツバラン。まだ若いのか胞子嚢は付いていないようである。

    近くの梅の木に着生していたクモラン

    大部分は夏の暑さに負けて枯れてしまったようである。

    民家の庭に植えてあるカヤの老木

    この木にはムギランがびっしりと着生している。

    青々として元気なムギラン。たくさんある球形の粒がムギランの名の由来となっている偽球茎。種では無くて茎の一部である。

    偽球茎の脇に既に種を飛ばしたガラが出ている。

 ムギランはカヤの木を好んで生育しており、南部町界隈にある大きなカヤの木を探すとそれなりに見ることが出来る。まだ開花している花はきっちりと撮影出来ておらず、この木は観察し易いのでタイミングが合えば、来年見に来てみたいと思っている。


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