ドイツの南部は中世の文化を大切にしています。面倒な問題が起きると、Das ist Tradition !(それが伝統だ!グタグタ言うな!)と言って前例通りに実行してしまいます。時代の変化や社会事情の変化をまったく無視するのです。Das ist Tradition !という言い方は「水戸黄門の印篭」のような効果があります。私も面白半分でよく使いました。日本人がこの台詞を言うとドイツ人がア然とした顔をします。それを見て笑いあいます。なごやかな雰囲気になります。
そのようなドイツの南部では町全体が高い堅牢な石造りの城壁で囲んであります。町や村を城壁で守るのが中世の常識だったのです。城壁の外に広がる畑の外側は深い森がえんえんと続き、狼や山賊が住んでいたのです。夕方になると農民は畑の仕事を終え城壁の内側に入ります。そして城門を堅く閉じるのです。夜は決して城門を開けません。旅人のふりをした賊が襲って来るからです。
一番上の写真がNordlingenの町です。町の真ん中に立っている鐘楼から見た風景です。赤い屋根の切れ目に少しだけ城壁が写っています。その向こう側は林になっています。林の外側に新市街が少し見えます。
この町も車でたびたび通過しました。
通過する時は下の写真のような中世の狭い城門を徐行しながら通ります。
町の中心地には市役所がありその地下は必ずビアホールになっています。広場にもカフェがあり屋外のテーブルで人々がくつろいでいます。下の写真のように車を適当な場所に止め、コーヒーを飲んで一休みしたものでした。駐車禁止などど無粋な看板がないのでゆっくりくつろげます。
私は現在でも近い場所なら車で観光旅行を時々します。そうすると日本では何処へ行っても、「駐車禁止」の看板が溢れれています。ゆっくり観光なんかする気分になれません。とにかく自由に駐車出来ないので観光が楽しくないのです。そんな時には南ドイツののんびりした田舎の町や村の旅が無性に懐かしく思い出します。
つまらない老人の話のお相手をして頂き有難う御座いました。今日はこれで終りにいたします。(続く)