49歳とかなり年をとってから江ノ島や葉山で小型ヨットを始めました。2年半で小型ヨットからクルーザーに乗り換え、10年、さらに少し大きいクルーザーに乗り換えて13年半です。通算26年間のヨットの趣味を今日キチンと止めました。かなり打ちこんでいたヨット趣味でしたが75歳になると体が言うことを聞いてくれません。
本当にヨボヨボになる前に早目に幕を閉じることにしました。
5月ころに後を継いでくれるTKさんが現れました。若々しい方です。一緒に3回のセイリングをして私のクルーザーの癖や性格を丁寧にお伝えしました。そして約束通り、10月29日の今日、正式に「譲渡証明書」をお渡しし、船体と法定備品など全てを引き継ぎました。
老齢で運動能力が無くなってヨットの趣味を止めることは悲しいものです。
今日はヨットのいろいろな備品の説明をTKさんへ説明しました。そしてこのクルーザーと過ごした忘れられない場面を走馬灯のように思い出していました。風を帆に受けて疾走する経験を何度もしました。突風にヒールし白い三角波に囲まれて、家内がおびえメインセイルを二人で必死に下ろし慌てて帰港したこと、深い霧の中で「五里霧中だ」と冗談を言いながらゆるゆるセイリングしたことなど・・・夕方からデッキの上で冷えたビールも飲みました。友人とキャビンの中でシャンパンを飲んだこともあります。家内や家族とキャビンに何度も泊りました。
一通りの説明が済んでから、TKさんをラクス・マリーナへ案内し、ハーバーマスターの佐藤敏郎さんへご紹介しました。私が23年半、いろいろとお世話になった方です。ヨットの故障を何度も気持ち良く直してくれた親切な方です。23年半もお世話になったお礼を丁寧に述べ、後を引き継ぐTKさんを宜しくお願いしますと頼みました。
これで佐藤さんとはもう会うこともないのです。悲しいです。
ヨットの趣味を卒業してまた新しい世界へ旅立つ決心が出来ました。そして5月以来、友人のように付き合ってきたTKさんと別れようとしました。と、その時、TKさんがフランスのシャンパンを取り出し、お会いした記念にと差し出しました。なんと有り難いプレゼントなのでしょう!単純な私は高級なシャンパンを見た途端に元気が出てきました。なお上記で、TKさんと書きました方はTadnobleとうハンドル・ネームで、秋の空を眺め、先月急死した友人のことを想う と題する記事へコメントを投稿して下さっている方のことです。
常磐高速道路を鼻歌まじりで飛ばしてときどき鼻をすすりながら帰ってきました。そんな一日でした。
26年間打ち込んだヨットの趣味を止めることは悲しいことでもありますが、何か深い充実感を覚えます。怖い思い。辛いセイリング。根気の要るセールや備品の修理。バッテリーの管理の苦労。水漏れの穴の修理。その全てを乗り越え、無事にヨットの趣味を卒業出来たのです。そのせいで充実感があるのかも知れません。
下にはもう見ることも無い愛艇の写真と係留地の風景写真です。