織田美保子さんは27年前の1984年に39歳で亡くなりました。夫の寧人さんはすぐに遺稿集を出版し、27年経過した現在でもこの本を多くの方々に読んで頂きたいと思っています。私も是非、一人でも多くの方々に読んで頂きたいと思います。
その理由は幾つかありますが、今日はその中から一つの理由を書きます。
「結婚して夫婦生活を始めた男性はどのように妻に接すべきか?」。この疑問に対して具体的に幾つかのことが書いてあります。それは織田美保子さんが夫へ要求しているのではありません。夫との愛情に満足し、幸多い生活をしているのです。そしてどういう時、幸せと感じたかを書いているのです。
世の中の男性はその文章を考えれば、妻をより幸せにする為にどうすれば良いかが理解出来るのです。いきなり具体的なことを書いてすみません。例えば夫婦で寝ているとき妻は手を伸ばして夫の体に触りながら寝ると幸せなのです。その手を振り払ってはいけません。そのような事が随筆風にさりげなく書いてあります。
夫の寧人さんと職場で知り合い結婚するまでのいきさつが短編小説風に書いてあります。寧人さんの男らしさに魅かれて結婚したようです。私は数日、「男らしさ」とはどういうことかを考えています。
「夫婦」と題したミニ随筆では街で偶然みた老夫婦が乗るべきバスを探して走っている様子を水彩画のようにスケッチしています。そしてその老夫婦の姿に自分達の日常生活を重ねて、少しだけ書いています。夫の趣味は若い時から鉄道写真を撮ることだったことが理解できます。妻はそれを受け入れ、協力しているのです。
自分達の夫婦生活から、一歩はなれて遠くから眺めて折々の感想をミニ随筆として書いています。「夫は妻を愛しなさい」とか「妻へ優しく接しなさい」という言葉は出て来ません。そのような直接的な表現が無いだけに男性のすべきこと一層明快に分かるのです。
「出城」と題するミニ随筆では城跡の大きな石を見ながら息子との楽しげな会話が書いてあります。息子へ対する切々たる愛情が感じられます。
さりげない書き方は苦しい病床から眺めたお医者さんや看護師さんたちへも変わりません。誰をも好意的にみているのです。その事実に感動します。
遺稿集「風に愛されたひと」にはお見舞いに来た多くの友人へのお礼状や友人からの手紙も掲載されています。織田美保子さんの周りに集まってくる人々は全て良い人です。善い人です。
けっして綺麗事だけが書いてあるのではありません。ガン病棟の生々しい現実も書いてあります。しかしなにか潔よい(いさぎよい)書き方です。
私は、「ああ、この方はガンに勝っている」と感じました。その勝利の支えには、夫や娘、息子、そして多くの友人がなっているのです。ですからこそ結婚しようとしている男性、夫婦生活をしている夫が読むべき書と思います。そのように信じています。
今日はこれからミサへ行きます。織田美保子さんのご冥福を心から祈ってきます。
下の花の写真は織田美保子さんへお供えする写真です。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り致します。藤山杜人