民宿やペンションは個人経営なので経営している人の個性が強く出るのが普通です。うっかりすると個性の押し売りが起きます。別に悪意は無い事は分かっていても敬遠したくなります。しかし今回家内と宿泊したペンション・ボーンフリーには感動しました。
第一に、建物の設計が良いのです。丁寧に考えられていて、ロマンチックに作られています。お風呂や薪ストーブなどの設備に惜しげも無く投資がしてあります。機能的で趣味の良い家具や食器が使われています。
第二に、食事が美味しいのです。魚料理も肉料理も手間暇かけてじっくりと仕上げてあります。オーガニック栽培の野菜はサラダでも、温かい野菜料理でも美味です。美しく皿に盛りつけた料理の量も充分です。コーヒーもヨーロピアン風の味です。ヨーグルトもパンも自家製です。
第三に、26年間も経営しているご夫婦がプロ意識に徹底しているのです。お客に負担をかける個性の押し売りは皆無です。いつぞやあるペンションに泊ったときご主人が料理法の説明をえんえんとするので参った事がありました。
料理は食べて美味しかったらそれで良いのです。うるさい説明は一切無い方が良いのです。
その上、経営者の安っぽい趣味でチャラチャラした造花やぬいぐるみを壁一面に飾ったペンションに泊った事もあります。翌朝、支払いを済ませて外に出たとたん何故か、「助かった!」とホッとした経験があります。そういうタイプのペンションが意外に多いものです。今回泊ったペンションは違います。
ペンション・ボーンフリーはご主人と奥様のセンスの良さと、お人柄の素晴らしさに初めてペンションを体験した家内もすっかり感心していました。
ここは私の山の小屋に一番近いペンションです。布団を車に積んで、山小屋のカビ臭い、寒い部屋に泊るのはそろそろ卒業しようと、近所のぺンションに泊ることにしたのです。インターネットで調べて、初めて泊る所です。ペンションは当たり外れが大きいので覚悟をしてチェックインしました。
大きな夕日が斜めに射しているウッドデッキの上にテーブルと椅子があります。ご主人がそこでコーヒーを淹れて歓迎してくれました。家内が美味しいコーヒーに感心している傍で私はビールです。あまり心地良いので暗くなるまで飲んでいました。
ダイニングに入ると写真の示すようなマホガニー色の二スを塗った椅子や壁があります。片隅には大きな外国製の薪ストーブが暖かく燃え盛っています。
それから風呂に入りましたが、その風呂が趣味の良い石造りで大きなガラス窓の外には中庭が見えます。手入れの行きとどいた中庭です。
そして夕食が感動ものです。オードブルに出た生ハムが絶品です。燻製の豆腐も楽しめました。カボチャのスープは丁寧に裏濾され、生クリームが程良く入っています。
魚料理は大きめのヒラメのムニエルに風味豊かなイタリア風ソース ジェノベーゼがたっぷりかけてあります。よくスズキのポワレと称して一口で食べられる小さな切り身が出て来ます。切り身の回りにほんの少しのソースが皿の模様のようにシャレてかけてあります。あまりにも少量で味も分かりません。ところがボーンフリーの魚料理はそんな子供騙しではありません。下にその魚料理の写真を示します。メイン・ディッシュの肉料理は牛のワイン煮です。シチューです。深い味わいです。ナスと2種類のピーマンも美味でした。
食べ物の事ばかり書くと意地汚くなりますので止めます。しかし止める前に一言。朝のサラダとベーコンが秀逸なのです。サラダはレタスとトマト、それとピクルス。中でも淡いピンクに染まったキャベツは珍しい美味しさでした。日本風に言えば漬けものです。ところがシャキシャキ、カリカリという心地良い歯ごたえがあるのです。ベーコンは燻製のよく効いた昔風の味です。本物です。
支払いを済ませてからお二人にいろいろ聞きました。自分で生ハムもベーコンやチーズの燻製をし、ヨーグルトも自家製、パンも自分で焼くそうです。ベーコンと燻製のチーズと燻製の豆腐は買う事ができます。私も購入しました。
使っている野菜はすべてお嬢さんの経営している有機野菜の農場で作るそうです。スイスへ留学して本格的に有機農業を勉強して来たそうです。その野菜を使った料理を食べたければ月、火、水、土、日に11:30時から営業するランチがお薦めです。
ペンション・ボーンフリーのホームページ:http://bornfree.jp/ に詳しいことは出ています。昼食でもなるべくなら電話で予約してほうが良いと思います。
結論を言えば、「このペンションは一流ホテルなみのサービスと食事が低料金で得られる」という事になります。料金のことを書くと下品になりますが、料金以上のサービスなのです。その事は書かずにはいられません。
なおホームページの中の以下の記事は是非ご覧下さい。このペンションの近所の風景やイベントの写真が豊富に出ています。
●白州・四季のいちページ(更新記録)
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