谷川俊太郎(1931年生)の詩集「二十億光年の孤独」は読んだことがあるのですが、今回初めてエッセイ集を読んだので感想を書き留めました。
(著 者)
谷川俊太郎は、1931(昭和6年)年東京生れ。52年に処女詩集「二十億光年の孤独」を刊行、みずみずしい感性が高い評価を得る。多くの詩集、エッセイ集、絵本、童話、翻訳書に加え、脚本や作詞などもある。詩集「日々の地図」、「六十二のソネット」、「ことばあそび」、翻訳の「マザーグース」など著書多数。
(本書のカバー裏面にある紹介)
(感 想)
老いてから(とはいっても60台後半くらい)の一人暮らしを背景に日常や回想を綴っています。死を見つめているなど時に哲学的にもなるのですが、それらも含めて生き生きとした詩人の実生活が垣間見られて、面白い。
最も感銘を受けたのは、「ある日」と題された日記の1999年2月20日(p143以下)です。作曲家の武満徹の命日に彼の作品を演奏するコンサートに出かけるのですが、『会ったり話したり出来なくなってから、余計武満を身近に感じる。それで思ったのは人は死ぬと暇になるということだ。』と著者は記し、
『あの世にいる人間はこの世のあわただしさに煩わされないので、こっちはいくらでも好きなだけ相手をしてもらえる』と続けています。武満徹と谷川俊太郎は芸術家同士で作品が残っているせいもありますが、自分の死後に想い出や痕跡を感じてもらえるようなお付き合いが友人などと出来ればよいなあと考えさせられました。