中野京子著「大人のための怖いクラシック オペラ編(角川文庫)を読みました。2009年4月に出された講談社+α文庫『大人のための「オペラ入門」を加筆修正し、改題されて令和3年3月に出版されたものです。
表紙
(著者について)
『美貌の人』(PHP新書)などを読んだことがありますが、絵画分野の著作が多い方だと思っていたので、オペラに造詣がとても深いのにはびっくりしました。
(裏表紙にある本書の紹介)
(感 想)
よく出来たオペラの入門書で役に立ちました。オペラ初心者の蓮君とオペラに通暁している美月さん(職場の後輩と先輩でもあります。)のやりとりで書かれていて、蓮の疑問や感想に美月が応えるという形が基本です。これが率直でわかりやすい。
詳しく取り上げた5本のオペラについては、原作の紹介がされていて、原作とオペラのストーリーの違いについて触れていて、オペラの特徴が理解しやすくなっています。このへんは、ドイツ文学者である著者の面目躍如といったところでしょう。
有名アリアなど音楽についても、もちろん触れられていて、読んでいるとオペラを鑑賞したくなってきます。5作の中から、ゲーテ原作なので難解だろうと敬遠していたグノーの「ファウスト」を視聴しましたが、敬遠していたのが全くもったいない一作でした。
〈本書で詳しく紹介されている5本のオペラ〉
ロッシーニ:チェネレントラ(シンデレラ)
ヴェルディ:椿姫
オッフェンバック:ホフマン物語
グノー:ファウスト
ビゼー:カルメン
(写真や図版も使われています)
オペラ舞台の構造のイラスト
ホフマン物語ではイタリアのヴェニスも舞台になります。そのヴェニスの絵。
カルメンの初演のタイトルロールを演じたメゾソプラノ歌手のセレスティーヌ・ガリ・マリエを描いた絵。
カルメンでは闘牛場も舞台になります。
終わりのほうにある、初心者にも楽しめるオペラ作品も参考になります。「さまよえるオランダ人」が挙げられているのは意外でした。
【グノー「ファウスト」(DVD】を観ました。】
出演は、エーリヒ・ビンダー指揮ウィーン国立歌劇場管弦楽団&合唱団。フランシスコ・アライサ(ファウスト)、ルッジェーロ・ライモンディ(メフィストフェレ)、ガブリエラ・ベニャチコヴァー(マルグリート)他。(1985年ウィーン国立歌劇場におけるライブ収録)
『清らかなこの住まい』、『宝石の歌』と名曲が入っているオペラで、ストーリーとともに楽しめました。