安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

中野京子著「大人のための怖いクラシック オペラ編」(角川文庫)を読み、グノーの「ファウスト」(DVD)を観ました。

2021-09-04 19:47:35 | クラシック

中野京子著「大人のための怖いクラシック オペラ編(角川文庫)を読みました。2009年4月に出された講談社+α文庫『大人のための「オペラ入門」を加筆修正し、改題されて令和3年3月に出版されたものです。

   

表紙

(著者について)

   

『美貌の人』(PHP新書)などを読んだことがありますが、絵画分野の著作が多い方だと思っていたので、オペラに造詣がとても深いのにはびっくりしました。

(裏表紙にある本書の紹介)

   

(感 想)

よく出来たオペラの入門書で役に立ちました。オペラ初心者の蓮君とオペラに通暁している美月さん(職場の後輩と先輩でもあります。)のやりとりで書かれていて、蓮の疑問や感想に美月が応えるという形が基本です。これが率直でわかりやすい。

詳しく取り上げた5本のオペラについては、原作の紹介がされていて、原作とオペラのストーリーの違いについて触れていて、オペラの特徴が理解しやすくなっています。このへんは、ドイツ文学者である著者の面目躍如といったところでしょう。

有名アリアなど音楽についても、もちろん触れられていて、読んでいるとオペラを鑑賞したくなってきます。5作の中から、ゲーテ原作なので難解だろうと敬遠していたグノーの「ファウスト」を視聴しましたが、敬遠していたのが全くもったいない一作でした。

〈本書で詳しく紹介されている5本のオペラ〉

ロッシーニ:チェネレントラ(シンデレラ)
ヴェルディ:椿姫
オッフェンバック:ホフマン物語
グノー:ファウスト
ビゼー:カルメン

(写真や図版も使われています)

 

   

オペラ舞台の構造のイラスト

ホフマン物語ではイタリアのヴェニスも舞台になります。そのヴェニスの絵。

   

カルメンの初演のタイトルロールを演じたメゾソプラノ歌手のセレスティーヌ・ガリ・マリエを描いた絵。

カルメンでは闘牛場も舞台になります。

終わりのほうにある、初心者にも楽しめるオペラ作品も参考になります。「さまよえるオランダ人」が挙げられているのは意外でした。

【グノー「ファウスト」(DVD】を観ました。】

出演は、エーリヒ・ビンダー指揮ウィーン国立歌劇場管弦楽団&合唱団。フランシスコ・アライサ(ファウスト)、ルッジェーロ・ライモンディ(メフィストフェレ)、ガブリエラ・ベニャチコヴァー(マルグリート)他。(1985年ウィーン国立歌劇場におけるライブ収録)

   

『清らかなこの住まい』、『宝石の歌』と名曲が入っているオペラで、ストーリーとともに楽しめました。