行きつけの書店に行ったら、平野啓一郎著「ある男」が平積みされていて、興味を惹かれたので購入して読みました。
(著者について)
平野啓一郎さんは、1975年生まれ、1999年、京都大学法学部在学中に投稿した「日蝕」により芥川賞受賞。以後数々の作品を発表、各国で翻訳紹介されている。2020年から芥川竜之介賞選考委員。著書は、「決壊」、「ドーン」、「空白を満たしなさい」、「マチネの終わりに」など多数。本書にあった著者紹介は次のとおり。
(ブックカバー裏面にある本書の紹介)
(感 想)
2018年に単行本が出され、この9月に文庫本が出版されました。読売文学賞を受賞し、映画化も予定されている小説で、著者のファン以外でも話題になりそうな小説です。かなり面白く読みました。
結婚した男性は、聞いていた経歴とは全くの別人だったという謎を解いていくという、推理小説のような粗筋で、そこに、依頼を受けてその謎を解いていく弁護士の家庭問題が絡むなど、幾層にも男女間、家族の諸相を描いています。
謎を解いていくと、「戸籍」の売り買いが出てきますが、実際ありそうな話で、ミステリー的にも読めます。練達な文章で心理描写など丁寧に描いていて、それはそれで良いのですが、僕のように筋を早く追いたい読者には少しまどろっこしい面はありました。映画化が楽しみです。
平安堂あづみ野店で、平積みされている平野啓一郎著「ある男」。
余談ですが、ジャズファンに嬉しい部分があります。登場する弁護士の城戸は、ジャズ好きで、有名なジャズアルバムもちらっと出てきます。