記者の目:県議選買収事件の12人全員無罪 内田久光(毎日新聞)
「いくら調べても裏が取れない」「お前の調べ方が悪いんだ」。捜査会議で署長と取調官がたびたび衝突し、供述を取れる「勝ち組」と、口を割らせられない「負け組」に内部分裂した。負け組は厳しく叱責(しっせき)され、「自白」させるように圧力を受け、できなければ捜査から外された。「指揮する2人とも下積みをしていないから、現場の気持ちが分からない」と、刑事経験が豊富な県警OBは捜査の暴走を悔やんだ。
チェックすべき鹿児島地検にも、暴走を止められなかった事情があった。捜査指揮を担当した検事は任官3年目。司法修習は、期間が1年半に短縮されて最初となる第53期だ。実務修習を鹿児島で受けたが経験が浅く、弁護人は「現場を見ずに警察官の調書を引き写したような調書が多い」とあきれる。
功績を挙げようと焦る署長は、よほど出世に執着していたのだろうか。何が何でも成果を挙げなければ成らない事情があったのだろうか。そういう場面もないとはいえないだけに、元サラリーマンとしては他人事ではない。
対する検察官は、「現場主義」を怠ったのか、はたまた「警察供述からの後退」を避けようとしたのか、これまた何が何でも成果を挙げねば成らない事情があったのか・・・。
「いくら調べても裏が取れない」「お前の調べ方が悪いんだ」。捜査会議で署長と取調官がたびたび衝突し、供述を取れる「勝ち組」と、口を割らせられない「負け組」に内部分裂した。負け組は厳しく叱責(しっせき)され、「自白」させるように圧力を受け、できなければ捜査から外された。「指揮する2人とも下積みをしていないから、現場の気持ちが分からない」と、刑事経験が豊富な県警OBは捜査の暴走を悔やんだ。
チェックすべき鹿児島地検にも、暴走を止められなかった事情があった。捜査指揮を担当した検事は任官3年目。司法修習は、期間が1年半に短縮されて最初となる第53期だ。実務修習を鹿児島で受けたが経験が浅く、弁護人は「現場を見ずに警察官の調書を引き写したような調書が多い」とあきれる。
功績を挙げようと焦る署長は、よほど出世に執着していたのだろうか。何が何でも成果を挙げなければ成らない事情があったのだろうか。そういう場面もないとはいえないだけに、元サラリーマンとしては他人事ではない。
対する検察官は、「現場主義」を怠ったのか、はたまた「警察供述からの後退」を避けようとしたのか、これまた何が何でも成果を挙げねば成らない事情があったのか・・・。