贈る言葉 改版 (新潮文庫 し 10-1) (文庫) が新潮文庫の「人生で二度読む本」に選ばれたのは当然である。いわゆる70年安保の時代を生きた世代:団塊の世代の純粋さをよくあらわしている。
主人公は、
「人は、観念なしに、意味ある生を持つことはできない」
と信じる田舎出の青年である。そして、その恋人は、「平凡な家庭の主婦」になることを忌み嫌い、外交官を目指し寸暇を惜しんで勉強する冴えない女学生である。その考えはある意味で一貫しており、彼女は主人公と肉体関係を持つことを頑強に拒み続ける。
主人公は、「観念と性欲」を対立するものかのようにとらえる。それは、「観念なき意味なき生」と「観念によって意味を与えられた生」の対立と通ずるものがある。だが、私見ではここで既に誤りがある。どちらも人間の脳内の生成物に過ぎないからである。
皮肉にも、最終的に主人公は「死んだ心で暮らしていく」はめになり、その元恋人も、外交官になる夢をアッサリ捨てて、商社マンの妻として平凡に暮らしていくこととなる。
・・・それにしても、「当時の人たちは純粋だなー、それに比べて・・・」と考えさせてしまう小説である。
主人公は、
「人は、観念なしに、意味ある生を持つことはできない」
と信じる田舎出の青年である。そして、その恋人は、「平凡な家庭の主婦」になることを忌み嫌い、外交官を目指し寸暇を惜しんで勉強する冴えない女学生である。その考えはある意味で一貫しており、彼女は主人公と肉体関係を持つことを頑強に拒み続ける。
主人公は、「観念と性欲」を対立するものかのようにとらえる。それは、「観念なき意味なき生」と「観念によって意味を与えられた生」の対立と通ずるものがある。だが、私見ではここで既に誤りがある。どちらも人間の脳内の生成物に過ぎないからである。
皮肉にも、最終的に主人公は「死んだ心で暮らしていく」はめになり、その元恋人も、外交官になる夢をアッサリ捨てて、商社マンの妻として平凡に暮らしていくこととなる。
・・・それにしても、「当時の人たちは純粋だなー、それに比べて・・・」と考えさせてしまう小説である。