「法の支配」異次元の破壊、香港議員資格剥奪が法曹界に与えた衝撃
「まず、香港の特定の現職議員の資格剥奪を決定できる法的根拠について「決定」は香港基本法を根拠とすると記述しているが、基本法のどの部分を根拠とするかは具体的に示していない。
その代わりに中国の憲法の52条、54条、67条1項によって決定したとしている。52条は中国公民の国家統一・民族団結の維持義務、54条は中国公民の国家安全擁護義務を定めている。67条1項は、全人代常務委員会が憲法の解釈権とその実施に対しての監督権を有すると定めている。」
「香港基本法104条は、立法会議員などは「法によって中華人民共和国香港特別行政区基本法を擁護し、中華人民共和国香港特別行政区に忠誠を尽すことを宣誓しなければならない」と定めている。
香港基本法の解釈権を持つ全人代常務委員会は16年11月、この104条の「解釈」を発表した。そこでは立法会議員などは宣誓を厳守しなければならず、虚偽の宣誓や宣誓後に宣誓違反をした場合、法的な責任を負うとされた。基本法104条の条文そのものは宣誓義務のみを定めているが、この「解釈」の発表によって宣誓した内容に違反すれば法的責任を負うことまで明確化された。」
「憲法の解釈権とその実施に対しての監督権」を有する全人代常務委員会は、香港基本法の解釈権をも有しており、同法104条の「解釈」に基づいて、香港議員の資格剥奪の決定を行ったというロジックのようだ。
このように、三権分立が定められていない国においては、憲法の「解釈」という作用を通じて実質的に憲法を改廃するような行為が、いとも簡単に、しかも「合憲的に」行われることとなる。
これに対し、わが国では三権分立が憲法上の原則となっているから大丈夫かというと、必ずしもそうではないことが、蟻川恒正先生の「憲法解釈権力」の中で述べられている。
要するに、他人事ではないのだ。
「まず、香港の特定の現職議員の資格剥奪を決定できる法的根拠について「決定」は香港基本法を根拠とすると記述しているが、基本法のどの部分を根拠とするかは具体的に示していない。
その代わりに中国の憲法の52条、54条、67条1項によって決定したとしている。52条は中国公民の国家統一・民族団結の維持義務、54条は中国公民の国家安全擁護義務を定めている。67条1項は、全人代常務委員会が憲法の解釈権とその実施に対しての監督権を有すると定めている。」
「香港基本法104条は、立法会議員などは「法によって中華人民共和国香港特別行政区基本法を擁護し、中華人民共和国香港特別行政区に忠誠を尽すことを宣誓しなければならない」と定めている。
香港基本法の解釈権を持つ全人代常務委員会は16年11月、この104条の「解釈」を発表した。そこでは立法会議員などは宣誓を厳守しなければならず、虚偽の宣誓や宣誓後に宣誓違反をした場合、法的な責任を負うとされた。基本法104条の条文そのものは宣誓義務のみを定めているが、この「解釈」の発表によって宣誓した内容に違反すれば法的責任を負うことまで明確化された。」
「憲法の解釈権とその実施に対しての監督権」を有する全人代常務委員会は、香港基本法の解釈権をも有しており、同法104条の「解釈」に基づいて、香港議員の資格剥奪の決定を行ったというロジックのようだ。
このように、三権分立が定められていない国においては、憲法の「解釈」という作用を通じて実質的に憲法を改廃するような行為が、いとも簡単に、しかも「合憲的に」行われることとなる。
これに対し、わが国では三権分立が憲法上の原則となっているから大丈夫かというと、必ずしもそうではないことが、蟻川恒正先生の「憲法解釈権力」の中で述べられている。
要するに、他人事ではないのだ。