偶像の薄明(角川文庫) 著者 ニーチェ
「私は昨日ビゼーの傑作を聞いた―――貴方は本気にして下さるでせうか?ーーーこれで二十回目だ。」
「ビゼーの音楽は私には完全だと思はれる。この音楽は軽やかに、しなやかに、鄭重に出てくる。愛すべき音楽だ、汗をかくことはない。」(「ワーグネルの場合」p10~11)
あるオペラ歌手の依頼者の方に、「初心者向けのオペラとしては、何がお薦めでしょうか?」と尋ねたところ、「カルメンとリゴレットでしょうね」という答えが返ってきた。
いずれも殺人劇であり、カルメンに至っては舞台上で殺害行為が行われる。
さすがに当初は物議を醸したらしく、コミック座支配人のド・ルーヴァンは初演前に辞任したそうである。
初演後に「野蛮なオペラ」と酷評されたカルメンは、やがてチャイコフスキーなどから絶賛されるようになり、ニーチェに至っては20回も観た(聞いた)という(これは結構な散財だったのではないだろうか?)。
ワーグナーの重々しい「楽劇」、とりわけ「パルジファル」や「ニーベルングの指環」に辟易していたと思われるニーチェ先生は、「汗をかかない」軽やかなビゼーのオペラは「完全」だという。
意外なことに、ニーチェ先生はドン・ホセではなくカルメンに感情移入しているようで、なんだか微笑ましい。
まあ、ドン・ホセは、冷静に見ればストーカー殺人犯だから、感情移入するのが難しいという意見も理解は出来る。
「私は昨日ビゼーの傑作を聞いた―――貴方は本気にして下さるでせうか?ーーーこれで二十回目だ。」
「ビゼーの音楽は私には完全だと思はれる。この音楽は軽やかに、しなやかに、鄭重に出てくる。愛すべき音楽だ、汗をかくことはない。」(「ワーグネルの場合」p10~11)
あるオペラ歌手の依頼者の方に、「初心者向けのオペラとしては、何がお薦めでしょうか?」と尋ねたところ、「カルメンとリゴレットでしょうね」という答えが返ってきた。
いずれも殺人劇であり、カルメンに至っては舞台上で殺害行為が行われる。
さすがに当初は物議を醸したらしく、コミック座支配人のド・ルーヴァンは初演前に辞任したそうである。
初演後に「野蛮なオペラ」と酷評されたカルメンは、やがてチャイコフスキーなどから絶賛されるようになり、ニーチェに至っては20回も観た(聞いた)という(これは結構な散財だったのではないだろうか?)。
ワーグナーの重々しい「楽劇」、とりわけ「パルジファル」や「ニーベルングの指環」に辟易していたと思われるニーチェ先生は、「汗をかかない」軽やかなビゼーのオペラは「完全」だという。
意外なことに、ニーチェ先生はドン・ホセではなくカルメンに感情移入しているようで、なんだか微笑ましい。
まあ、ドン・ホセは、冷静に見ればストーカー殺人犯だから、感情移入するのが難しいという意見も理解は出来る。