Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

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2022年10月11日 06時30分00秒 | Weblog
ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル ジュリオ・チェーザレ<新制作>
 「ロラン・ペリー演出版は2011年にパリ・オペラ座ガルニエで上演され話題となり、14年にトリノ王立歌劇場でも上演されたもの。ペリーのコンセプトは、「史実をめぐる夢想」。「遊び心をもって歴史を見てみた」と、エジプトの博物館のバックヤードを舞台にし、巨大な彫像や絵画などが舞台上に次々現れ、古代と現代とがない交ぜになったファンタジーがドラマティックに展開します。

 2022/2023シーズンのオペラ開幕公演は、「ジュリオ・チェーザレ」(「ジュリアス・シーザー」のイタリア語読み)。
 シーザー役をメゾソプラノのマリアンネ・ベアーテ・キーランドさんが、少年セスト役をなんとメゾソプラノの金子美香さんが、エジプトの王トロメーオをカウンターテナーの藤木大地さんが、それぞれ演じるというところがまず意表を突く。
 シーザーはなかなか格好良く、セストの動きも少年らしく敏捷だが、トロメーオは衣装のせいもあってなぜか和田アキ子にしか見えないという、ややシュールな情景が出現する。
 それだけでなく、今回の演出はそれ以外も奇抜である。
 舞台は、「博物館の倉庫」である。 
 演出家の意図は、「博物館の絵画や彫刻は、実在の人物に由来する表象物(ルプレザンタシオン)であり、人々の魂が自分たちの表象物の間を漂う」というもので、私はなかなか良いと思った。
 ところが、第一幕が終わると、ちょっとした事件が起きた。
 中央ブロック5列目付近から、結構大きな声が響いてきた。

 「あいつら(博物館の職員たち)は一体何なんだ?誰が演出したんだ?実に不愉快な演出だよな!

 座席の位置、見た目や発言内容からすると、この人物(年配の紳士)は、おそらく賛助会員(要するにスポンサー)ではないかと思われる。
 賛助会員には、(元)政治家、(元)高級官僚や財界の大物などが名を連ねているのだが、雰囲気や物腰からは、かなり社会的地位の高そうな人に見える。
 もしかすると、運営側には、スポンサーからこうした苦情が寄せられたのかもしれない。
 私見では、もともと「ジュリオ・チェーザレ」はパロディの要素を多く含んでいるわけだし、今回の演出は許容範囲内だと思う。
 許容しがたいのは、例えば、バイエルン州立歌劇場「タンホイザー」のカステルッチのような演出(バイエルン国立歌劇場「タンホイザー」、ペトレンコ指揮、カステルッチ演出)である。
 詳細は説明しないが、およそワーグナーの意図にそぐわないグロテスクな演出で、私などは「タンホイザー」のイメージを破壊されたように感じた。  
 これには、観客だけでなく、天国のワーグナー様もご立腹だろう。
 
コメント
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