Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

先見の明(2)

2022年10月29日 07時30分00秒 | Weblog
手形交換所で交換した手形以外のもの ~手形交換所143年の終幕によせて~

 11月2日、全国に179か所ある手形交換所が143年の歴史に幕を下ろす。
 私が金融機関職員だったころ、「手形」という単語を耳にしたとたんに緊張を覚えたものだ。
 夕方になると、融資担当者は、「TSR(東京商工リサーチ)情報」を見て、その日、取引先の手形が不渡りとなっていないかどうかを確認するのが日課だったのである。
 また、司法試験受験生にとっては、論文試験での手形法の問題が合格までの難関の一つとなっており、かつては「手形法で失敗して不合格になった」という話をよく聞いたものである。
 ところが、平成の半ばあたりから、手形法の問題が出題されない年が出るようになった。
 仄聞したところでは、試験委員の中の、例えば森本滋先生などが、「手形法なんぞは時代遅れだ」という理由で、出題すべきでないという方針を打ち出していたという(繰り返しておくと、あくまで伝聞である。)。
 
【連載】科目別「法律学習」の作法 第7回「商法(手形法・小切手法)学習」の作法 2 現行司法試験及び予備試験論文式試験における特徴
 「旧司法試験の論文式試験では,長年第1問が会社法,第2問が手形法・小切手法から(時折,商法総則・商行為法から)出題されておりました。事例問題がほとんどでしたが,時折説明問題も出題されました。
 これに対して,現行司法試験及び予備試験では,商法は1問のみ,事例問題が出題されております。
 まず,司法試験の方ですが,平成18年の開始以来,会社法分野から出題されており,手形法・小切手法の分野からの出題はありません。
 他方,予備試験の方は,平成24年と同28年に手形法・小切手法の分野からの出題(会社法などとの融合)があります。


 やはり、今では手形法の問題はほぼ出題されないという状況のようだ。
 こうしてみると、森本先生のような商法学者の先生方には先見の明があったということかもしれない。
 だが、私などは、「手形の不渡り」による取引先等の倒産をいくつも経験してきており、手形法の勉強にもそれなりの時間を費やしてきただけに、「あれはいったい何だったのか?」という思いで、茫然としてしまうのである。

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