Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

12月のポトラッチ・カウント(2)

2024年12月22日 06時30分00秒 | Weblog
 「万七肩に負う風呂敷包みより、例の金壺とり出し、
 『父さん、金壺は返します。そのかわり、お舟さんをあきらめてくれますね』
と、いいつつ手渡せば、金左衛門、ひしと金壺抱きしめて、
 『金壺よ、金壺を、もう決して離れまい、離れまいぞ』
と、京屋の口真似に、各々どっとうち笑う。

 誰もが金左衛門の行動を気味が悪いと思うだろう。
 金左衛門の根本思想は、コッペリウス博士のそれと似ているのである(「主体」化、あるいはコッペリウスとプーチン)。

 「・・・つまり実力による奪取が蓄蔵貨幣への amour の簒奪に置き換わる。もとよりヴァレールもまた amour に生きる。ヴァレールの amour はもちろんエリーズに対するものであるが、讒訴に対して amour を自白するヴァレールを前にして、同じ amour の世界を生きながら amour と実力支配を同義と捉える新種の人物アルパゴンにとって、蓄蔵貨幣への amour も非論理でも何でもない。」(p109)

 井上ひさし氏は、「守銭奴」を換骨奪胎して、金左衛門=アルパゴンの気味の悪さを見事に表現した。
 と同時に、日本風に、「イエを捨ててお舟と世帯を持とうとする万七」というポトラッチを設定し、このポトラッチが成功を収めたのである。
 ・・・ということで、「金壺親父恋達引」のポトラッチ・ポイントは、1.0(★)。

コメント
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