曲目・演目
ベリオ:水のクラヴィーア(1965)
ショパン:24の前奏曲 Op.28
シューマン:クライスレリアーナ Op.16
バルトーク:戸外にて Sz.81/BB89
私は、朝目覚めるとまずiPodに手を伸ばし、あるクラシックのピアノ曲を再生することにしている。
これは私の”起床儀礼”の一つである。
その曲は、阪田知樹さんが演奏するショパン(バラキレフ編曲)ピアノ協奏曲第1 番 ホ短調 作品11より第2 楽章「ロマンス」("Illusions"「イリュージョンズ」に収録)である。
個人的には、朝の目覚めの曲としては、① ポジティヴな気分を促進する(暗くない)もの、② 穏やかな(あまり騒がしくなく、過度に刺激的でない)もの、③ 適度な長さ(10分程度)のもの、というのが相応しいと考えているのだが、「ロマンス」はこれをいずれも満たしているのである。
というわけで、当然のことながら、阪田さんのソロコンサートには出来るだけ行くようにしている。
ところが、昨年は不覚にも「華麗なるコンチェルト・シリーズ第19回《ファンタジック・リスト》阪田知樹」に行っただけで、これはソロではないので、
結局ソロコンサートには行きそびれたのである。
今年は新年早々、ソロコンサートが開催されたのだが、私にとっての難点は、シューマンの「クライスレリアーナ」(「くるみ割り人形」の原作者E.T.A.ホフマンの評論集の題名から引用)である。
玄人(ピアニスト)が好む演目で、演奏機会も多いのだが、私は、これを聴き始めるととたんに眠くなってしまう。
私は、中学時代は毎日のように「トロイメライ」を弾いていたので、シューマンは大好きな作曲家の1人なのだが、同じ人物がどうして「クライスレリアーナ」のような難解で退屈な曲を作ったのか、長年疑問に思っていた。
ところが、この曲を阪田さんの演奏で聴くと、何とも生き生きとした、メロディラインのくっきりとした、しかもメリハリの利いた名曲に聴こえて来たのである。
彼が弾くと全く眠くならないばかりか、数十年を経て「開眼」したかのような、爽やかな気分にしてくれる。
それは、私が阪田さんの演奏する曲を、”起床儀礼”に使わせてもらっているからなのかもしれない。
早く次のCDを出してくれないかな。