パンセ(みたいなものを目指して)

好きなものはモーツァルト、ブルックナーとポール・マッカートニー、ヘッセ、サッカー。あとは面倒くさいことを考えること

バレンボイムのブルックナー1番

2016年02月05日 08時37分46秒 | 見てきた、聴いてきた(展示会・映画と音楽)

昨日は、みんなが寒い中頑張っているので
少し心苦しいかったが、ずっと前から計画していたお楽しみ
バレンボイムとシュタッツカペレ・ベルリンのコンサートにでかけた

プログラムはモーツァルトの最後のピアノ協奏曲27番
それにブルックナーの交響曲1番
会場は愛知県芸術劇場コンサートホール
 

ブルックナーは大好きな作曲家の一人で
昨年は晩年を過ごしたウィーンのベルデヴェーレ宮殿や
その前にはリンツの聖フローリアン修道院にでかけたりして
全く「オタク」の部類

現実のブルックナーの演奏は
マーラー・ブルックナーとセットにされて
ブームになった時でさえ4番が多く演奏されたくらいで
8番が時々、初期の方はほとんど相手にされない

でもこの初期の、1番、2番が実は自分は大好き
どうして好きか?を答えるのは難しい
なんか、好き
そうしか答えられない

聴いたことのない人には1番は大音量で鳴りっぱなし
それも無意味に、、、と思うかもしれない
しかし、好きな立場で聴くと、この鳴らしっぱなしの音が
オルガンを目一杯鳴らして楽しんでいるみたいで
とても心地よい
この大音量の感じはロシアの例えばチャイコフスキーのとは全然違う
ブルックナーはなんか音に汚れがない
だから疲れない

バレンボイムの指揮はこれで3回目
最初はパリ管でドビュッシーの海だったか夜想曲
このアンコールが良かった
グルックの精霊の踊りが演奏されたが、
酔っ払っていい気分になっている聴衆を
また酔わせる感じでうっとり、
時間の経過を忘れさせるような瞬間を今でも覚えている

2回目はシカゴ交響楽団とのブラームスの2番
これは大いに外れ
損した!という感じ

そして今回
最初のモーツァルトは小さな編成でサラッとなるのか
とおもいきや、北のドイツらしく真面目な演奏
冒頭の弦と管の絡みはもうすこし管にニュアンスが欲しかった
(なんて偉そうなことを)
そして一楽章の中間部、短調でぐさりと驚かされるところ
これももうすこしやりようなあったのでは!
つまり、ちょっと残念な演奏だった
これがウィーンのオケだったら、
もうすこし気の利いた演奏をしたのではと思ったりする

しかしモーツァルトは聞き流すと、どうってことにない音楽だが
しっかり耳をすますと、なんと多くの感情やらニュアンスが
込められているのかと つくづく思ったりする

さてお目当てのブルックナー
何故か指揮台が舞台の端ギリギリまで移動されている
落ちてしまわないかと心配するほど
オーケストラの配置は扇型ではなく
ティンパニを山の頂上とした富士山みたいな形
それに左肩にコントラバスが配置されて
ちょっと見たことのない陣形
この配置から出てくる音はブレンドされたというより
塊 として出てくるのか
そこはプロではないのでわからない
ただ何かしらの目的、効果があって行われていることだろう

1楽章の冒頭 マーラーの6番を予感するような刻みの音形から
音楽が始まる
この時の弦と管の掛け合いは管が音量を抑えてとても雰囲気がある
これで一気に曲に集中できた

この曲、やんちゃな若いブルックナーの音楽
イケイケで音を鳴らしっぱなしのところがある
ところで、ブルックナーの演奏はテンポを変えないで
演奏するほうが良いみたいな話をよく聞くが
この一番を聞いていてクライマックスにいたるところなんかは
徐々にスピードを上げていったほうが自然、
音形もそれを要求しているような気がした 
フルトヴェングラーが演奏したらきっと煽っただろうななどと連想

2楽章 ゆっくりした音楽はブルックナーの真骨頂
美しいというのは感傷的というのとは違う
もっと体全体を音楽に委ねて法悦に達するような
(この最たるものは8番の3楽章)
とてもうっとり

3楽章 若いブルックナー  ブレーキのないイケイケのブルックナー
誰にでも若い時はあったのだ
と当たり前のことを感じる
これはロックの世界のノリに通じる

そのままの勢いで4楽章のフィナーレに
ベートーヴェンの7番も3楽章から4楽章まで一気加勢だが
この曲も似た感じ
イケイケが拍車をかける
でも初めてこの曲を聴く人は、
訳わからずに音がなっていると感じるかもいしれない 
何度も聴いて楽しむコツを知っている自分らは問題ないが
一般的には聴きにくい音楽の範疇に入るのかもしれない

結局、ブルックナーは愛する神様にいたるところで
「神様バンザイ!」とやりたかったのではないか
とにかく肯定的な結論や音楽を表現したかったのではないか
そんな思いが頭をよぎる

演奏が終わって、それははっきりと終わりというのが分かる終わり方だが
いつもなら起こるブラボーの声が起きない
終わったあと、静寂、誰もが声を上げるタイミングを失ったかのよう
それは圧倒されたのか、それとも聴いたことのない曲で戸惑ったせいなのか
1.2秒の沈黙
そしてパラパラと音がしだすと、徐々に大きな拍手に
自分は本当に楽しめたけど、他の人はどんな印象を持ったのだろう
変な曲?

ところでブルックナーの演奏会には女性が少ないというのが定説のようだが
昨日は意外に多かった
隣の女性に「メインがブルックナーですが、女性は珍しいですね」と声をかけると
お目当てはモーツァルトのピアノ協奏曲の方との答え
なるほど、そうでしょうね

ということで、大いに楽しんだ
(チケット代の元を取らねばもったいない) 
本当は2番も聴きたい5番も
誰か名古屋でやってくれないかな

あとシモーネ・ヤングの演奏で8番の初稿での演奏
やってくれないかな
絶対行くのに! 

コメント (2)
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