多数決が最終的に適切な決め方としているのは
一人で判断するよりは多くの人の判断を求めたほうが
数学的に間違いが少ないからとされる
例えば人間は間違いを起こすので判断の確かさを100%ではないが
50%よりは多いと仮定して、試しに0.6の確率で正しい判断をするとする
この条件で判断をすると一人の場合は0.6のままだが、数人による多数決を
してみるとその正しさの確率は0.6よりは少し上がる
(この例は「多数決を疑う」という本に書かれている)
多くの人の意見を聞いたほうが間違いないということだが
ここには気をつけなかればならない大前提がある
それは判断すべき内容に関して、判断する立場の人が完全に無関係で
ニュートラルに判断できるということだ
損得の感情を持った人物が多数決に参加すると多数決の数学的な正当性は失われる
このことを法的に確保するのが、採決の際の関係者の除籍だ
少し前に市議会でこんなことが起きた
それは6人の議員を一纏めした「問責決議案」が提出されたのだ
この議会は総勢18名で、議長は除くから議決をするのは17人で行われる
ここで問題となったのは関係者の除籍の問題で、2つの考え方が検討されることになった
一つは6人一括で同じ内容だから関係者は6人で、6人は採決に参加できないとするもの
もう一つは、6人を一人ひとり分けてそれぞれに対して採決をすべきとするもの
どちらが適切な方法かとなるのだが、こういうときは先例集というのを参考にするらしい
事務局(?)が探してきた他の地区の例が、一人ひとり独立して採決すべきというものだった
この場合は6人のうちの一人が除籍するだけで他の5人は採決に参加できるから
除籍されていない訴えられた5人は当然のように問責決議案に反対をする
(この方法だと否決される可能性が高い)
しかし、関係者が参加するのは多数決の正当性を確保する条件から離れているので
この例は本当に正しいものか、、と思う議員がいた
そこで、問責決議案を提出した議員は、まとめて訴えられた場合の別の先例が無いか
を必死に探した
すると何のことはない、まとめで除籍したという例は他の地区でもいくつか存在し
これを根拠に、やはり6人一括して除籍した上で採決すべきと訴えた
2つの先例があるので迷うことになったが、こういうときは議長の判断となるのが普通らしい
どちらを選ぶべきか、、、議長個人が判断を下すのは精神的にしんどい、、、
途中経過は省くが、結果的にこの問責決議は6人がまとめて除籍することになり
提出された「問責決議案」は可決された
あまり好ましいことではない今の市議会を表すような出来事だが
この一連の経過を傍観していた身としては、
先例集をひたすら探してその例にしたがうというよりは
そもそも除籍という制度が何故存在するかを考えれば
どちらが正しい判断かはわかるのではないか、、、と考えてしまった
明文化された法は解釈が難しい(例えば除籍等の条件)
慣れていないと何を言ってるのか分からない
しかし、よく考えてみると法は存在理由とか理屈の応用を文章化したもの
で成り立っていると思われる
今回の場合は、個人的には多数決の正当性を確保するためには
まとめて除籍が正しいと感じた
それは付き合いのある訴えた側を応援の意味ではなくて
単純にどちらのほうが制度的に正しいか、、を考えた結果だ
それにしても、感情をもった人間同士の行うことは難しい
(まして変わり者の多い集団の中では)