パンセ(みたいなものを目指して)

好きなものはモーツァルト、ブルックナーとポール・マッカートニー、ヘッセ、サッカー。あとは面倒くさいことを考えること

「植物は未来を知っている」を読んで

2023年02月05日 09時17分02秒 | 

今年最初に読み終えて、幸先の良い読書と思われたのが「植物は知性をもっている」
それに続くのが「植物は未来を知っている」(いずれもマッシモ・マングーソ著)

先の本が入門編ならこちらは応用編で、より具体的な事例が多く紹介される
植物は地球上の体積とか重量からすれば、地球の支配者なのだが
人間はなかなか自分らを含む動物優位の発想からなかなか抜けられないようだ

植物について、人間が活用している植物の種類は3万1千種以上で
そのうちの1万8千種は医療目的、6千種は食物、1万1千種は建築用の繊維や資材として
千3百種は社会的な目的(宗教的な使用やドラッグを含む)で、8千種は環境目的
千3百種はエネルギー資源として、2万5千種は毒物として使用されているのだそうだ

これだけお世話になっている植物
その生き方を人間はなんらか参考にしたほうが良いと考えるのはごく自然のことだ
植物に限らず生き物の形態の多様さとか生命維持の奇抜さには驚きとショックを覚える

前作にまして様々な例が紹介される
それは生き物社会の最適解が(動物も植物も)みんなが良しとして選んだ方法が
結果的に生命維持とか社会の維持にふさわしいとの結論が出ているとしている
だから人間社会も最近多くなりつつある(決断の速い)少数者の専制ではなくて
手間がかかっても民主主義を活用していくことが良いのではないかと暗示している

と真面目に読み進めていたが、今回印象に残ったのは本質と全く外れた部分で
火星まで往復旅行ができた場合の問題点だ
人類の月までの往復は再び様々な理由から再び盛り上がっているが
すでに経験のあることで、それに要する時間は人間が耐えられないほどではない

ところが火星までとなると事情は大きく変わる
火星までの距離は月までのそれの140倍以上で
行きに6ヶ月から一年、帰りも同様な時間がかかる
問題は人間がその時間を、機器やらに囲まれた自由に動けない狭い空間と
プライバシーもない環境下、まして無重力の中で正常に生きていけるかという点だ

この本は植物に関する本なので、結論として植物の存在が人間の精神に与える
影響が肯定的なものとして各種の実験結果から紹介されている
(つまりは火星旅行には植物の同伴が不可欠ということ)
確かに部屋に植物があるとどこかしらホッとした気持ちになれるので
その結論は納得できるような気がする

ところで現在の自分は、リタイア組として社会との接点が少なくなっていて
摩擦もなにかの気づきは少なくなっているが
読書はこの様に新たな気づきを与えてくれる
それが役に立つたたないか関係なく、知らないことを知るということは
きっと精神にもいい影響なんだろうと思い込むことにしている

だが読んでもすぐ忘れる、、というのは
ちょいと落ち込みそうだが

コメント
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