ブラジルとは違う強さを感じたドイツのサッカー
同じ様にフィジカルを前提にしながらも
本能的なひらめきを好むブラジルと
理知的で現実的なプレイを好むドイツ
昨晩(11月23日)のワールドカップEグループの初戦
日本対ドイツは思わぬドラマが待っていた
(結果は日本2−1ドイツ)
勝利の喜びは今日は一日中テレビで大騒ぎするだろうから
そちらに任せて、試合を見ながら感じたことを、、
上手い選手というのはトリッキーなことをするのではなく
確実なプレイを正確に適切な判断で行うというのがドイツの基準
パススピードは過度に速くなく、味方が次のプレイをしやすいくらいだ
これを可能にしていたのが多分バイエルン・ミュンヘンを主体とした
チーム構成のおかげだろう
ワールドカップのチームよりクラブチームの方が強いのはよく知られたことだが
ドイツのチームは日本のフロンターレのメンバーを基本に作ったようなチームで
阿吽の呼吸でそれぞれが適切なプレーを確実に行う
テンション高くではなく、粛々となすべき仕事をしている感じ
その攻撃は日本の右サイドを餌食としてビッグチャンスを生み出していた
右サイドは伊東と酒井で走力のある選手だが、何故かぽかっと空いたところに
長めのパスが来て、彼らは守り一辺倒で伊東の良さは発揮できなかった
久保のサイドは全然ボールが回ってこず、久保が調子を維持していても
その力を発揮するところはなかった
これは彼のパフォーマンスが悪かったというのとは違って
戦術的な混乱が前半は見られたということ
試合を見ていて日本の右サイドをつかれていたから
どういう対処をするのだろうと興味を持った
その対処法は後半の交代の現れた
久保と富安の交代だ
MFとDFの交代で後ろを3バックにして、人を捕まえやすい様に配置した
これは上手い変更で徐々にドイツは前半戦のような効果的な攻撃はできなくなった
もっともドイツは正直なところ「この試合は勝ち」と勝手に決めていたのではないか
攻撃も余裕があるようで必死さはさほど感じなかった
「自分たちのほうが相手より強い」と勝手に選手が決めてしまうというのは
ありがちなことで、自分たちもそうした経験は何度かある
これは大きな落とし穴で、一度そうした慢心から緩んだ気持ちは
相手が勢いづいた時、立て直すのはとても難しく何をやってもうまく行かなくなる
これはよくある出来事で、多分サッカーの神様のお仕置きだ
選手交代は前田から浅野、長友から三苫、田中から堂安、酒井から南野
一体どういう布陣なのかと悩みそうな攻撃的な配置だ
「もしかしたら何かが起こるかも知れない」と感じた瞬間があった
ドイツの攻撃をキーパーの権田がギリギリのところで防いでいて
それも連続したシュートを防いでいた
これは神がかり的なところもあり、「キーパーが当たってる」
と言われる状態で、もう点は取られないだろうと思った
ドイツのキーパーのノイアーは世界的に有名な選手だが
そのノイアーから堂安はリーグ戦で得点を決めたことがある
確か得意の左足ではなく右足だったが
選手間の相性というのはあるもので
昨晩堂安が同点ゴールを決めたのは
その流れに沿ったものだと勝手に納得していた
浅野は最後のところで肝心な結果をもたらす選手で
オリンピック予選の韓国戦も負けていた状態から起死回生の同点と
勝ち越しゴールを奪っているし、今回のワールドカップ予選でも
オーストラリア戦でアディショナルタイムに
オウンゴールをもたらすシュートを撃っている
今回、勝負の世界では日本はドイツに勝った
だが、それは依然として番狂わせの範疇から抜け出せない
強いという実感を感じさせられるには、まだまだ遠い道のりだと思う