瀬戸内寂聴さんが漫画で源氏物語を読むのもあり!
と発言されたこともあり、気楽に図書館で借りてきたのはが
イラストで読む万葉集
イラストは里中満智子さん
里中満智子さんは「天上の虹」で持統天皇の物語を描いて、この時代にも詳しい方
(と言っても自分は天上の虹は読んでいないが)
そして、万葉集から幾つかを選んで解説しているのが米川千嘉子さん
(この人は申し訳ないが存じあげない)
この本で一番気に入っているのは字が大きいこと
老眼が進んだ目に優しい
そしてその収納された歌のボリューム
多すぎず、少なすぎず、集中力が続く範囲内
そして歌の選び方が良くて、有名なものでなくても
心にすっと入っていく
しかし、深く理解しようとすると手こずるのが人間関係
誰と誰の子が誰で、その誰かは天皇とどんな位置関係にあるのかなどなど
章に分かれた冒頭にページを割いているのだが
残念ながら頭に入っていかない(ホント情けない)
それで、つい面倒になって人間関係は無視して歌だけを
味わおうとするが、それでも万葉集の歌以外の地の部分が
分かればその面白さはより深まる
昔は多分万葉集の中で一番有名な
あかねさす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る
(額田王)
紫草(むらさき)のにほへる妹を憎くあらば 人妻ゆゑに我恋ひめやも
(大海人皇子)
これが好きというか気に入っていた
しかし、人間関係を多少なりとも知っていくと興味深いのが
持統天皇の息子の草壁皇子のライバルの(持統天皇のお姉さんが産んだ)
大津皇子とそのお姉さんの大伯皇女
大津皇子は可哀想な人で、今で言う権力闘争みたいなものの被害者
あらぬ疑いをかけられて刑死までに至ってしまう
しかしお姉さん(大伯皇女)は弟が危険な状態なのは薄々感じていて
我が背子を 大和へ遣ると さ夜更けて 暁露に 我れ立ち濡れし
二人行けど行き過ぎ難き秋山をいかにか君が独り越ゆらむ
と弟に向けて歌っている
少しばかり単純な姉弟の関係ではなさそうな雰囲気が感じられるが
何かしら切実な感じが 心を打つ
大津皇子はお姉さんにではなく、恋人にセンスのある歌を送っている
あしひきの山のしづくに妹(いも)待つとわが立ち濡れし山のしづくに
少しばかり変な言い方になるが、みんな格好いい
教養として、あるいは実際の何らかの手段として
こうしたものをサラッと作って残していけるのは
ところで、「天上の虹」は持統天皇を主人公とした物語
彼女が策略した大津皇子の事件を里中満智子さんは
どんなふうに(多分持統天皇寄りの立場で)描いているのか
少し興味があるが流石に図書館には漫画はないし、、、、(残念!)